セッション情報 | 特別企画 後期研修医(卒後3-6年迄) |
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タイトル | O-39:SVR後の多発する肝発癌に背景肝を含め集学的治療したC型肝硬変の一例 |
演者 | 岡本 大祐(いわき市立総合磐城共立病院 消化器内科) |
共同演者 | 中山 晴夫(いわき市立総合磐城共立病院 消化器内科), 駒沢 大輔(いわき市立総合磐城共立病院 消化器内科), 渡部 敬之(いわき市立総合磐城共立病院 消化器内科), 伊藤 広通(いわき市立総合磐城共立病院 消化器内科), 土佐 正規(いわき市立総合磐城共立病院 消化器内科), 大楽 尚弘(いわき市立総合磐城共立病院 消化器内科), 池田 智之(いわき市立総合磐城共立病院 消化器内科), 高橋 成一(いわき市立総合磐城共立病院 消化器内科), 池谷 伸一(いわき市立総合磐城共立病院 消化器内科), 樋渡 信夫(いわき市立総合磐城共立病院 消化器内科) |
抄録 | 【背景】C型肝炎に対するIFN治療法の進歩によりSVR症例が増える一方で、長期SVR症例からの肝発癌の報告も増えている。今回、SVR10年後から肝発癌を繰り返した症例で、脂肪化と高インスリン血症に対してPioglitazone治療を行うことで、肝発癌リスク因子の軽減化をはかりながら計6回の発癌に集学的治療した一例を経験したので報告する。 【症例】72歳 男性 【既往歴】特に無し。 【現病歴】1993年(61歳)、Genotype 1b型C型肝硬変にIFN治療を行ないSVRとなった。以降、全経過肝機能は正常であった。しかし、SVR10年後の2004年(72歳)S7に20mm大の肝癌を認め、肝切除術施行。翌2005年に断端再発、2006年にS2に異所再発認め、TAE+PEI施行。2007年には右副腎転移に対し手術、椎体転移に対しradiation治療と、毎年再発を繰り返していた。発癌時の非癌部組織はF2A1とIFN治療時(F4A2)から組織学的改善を認めたが、肝実質にびまん性小滴性脂肪滴を認めた。また、糖負荷試験で耐糖能異常と高インスリン血症を認めたため、2008年からPioglitazone治療を開始した。2年後の肝生検では小滴性脂肪滴は消失し、糖負荷試験でも高インスリン血症の改善を認めた。本症例は初回肝発癌から3年間で4回再発を繰り返したが、Pioglitazone治療開始以降は4.5年再発を認めなかった。しかし、2012年S8に15mmの再発を認めRFA治療を行った。 【考察】SVR症例の肝発癌のRisk factorとして肝線維化進行例、加齢、アルコール、男性に加え、近年の肥満人口の増加に伴い糖尿病、脂肪化による発癌が問題となってきている。本症例はSVR10年後の初回肝発癌から再発を繰り返していたが、Pioglitazone治療により脂肪化とインスリン抵抗性が改善し、高発癌環境を軽減することが出来た。 【結語】今後増加が予想されるSVR症例の肝発癌を減らすためにも背景肝を含めた発癌リスク因子の評価と対策が必要である。 |
索引用語 | 慢性C型肝炎, 肝細胞癌 |