セッション情報 特別企画 後期研修医(卒後3-6年迄)

タイトル O-24:

腸管穿孔をきたしたNK/T細胞リンパ腫、鼻型の1例

演者 玉川 空樹(みやぎ県南中核病院 消化器内科)
共同演者 梅村 賢(みやぎ県南中核病院 消化器内科), 赤田 昌紀(みやぎ県南中核病院 外科), 油井 理恵子(みやぎ県南中核病院 消化器内科), 高橋 貴一(みやぎ県南中核病院 消化器内科), 洞口 愛(みやぎ県南中核病院 消化器内科), 阿曽沼 祥(みやぎ県南中核病院 消化器内科), 飯岡 佳彦(みやぎ県南中核病院 消化器内科), 大沼 勝(みやぎ県南中核病院 消化器内科), 三浦 雅人(みやぎ県南中核病院 消化器内科), 廣澤 貴志(みやぎ県南中核病院 外科), 前田 晋平(みやぎ県南中核病院 外科), 上野 達也(みやぎ県南中核病院 外科), 佐藤 俊(みやぎ県南中核病院 外科), 後藤 慎二(みやぎ県南中核病院 外科), 高橋 道長(みやぎ県南中核病院 外科), 内藤 広郎(みやぎ県南中核病院 外科)
抄録 【はじめに】今回我々は、腸管穿孔をきたしたNK/T細胞リンパ腫、鼻型の1例を経験したので報告する。【症例】68才男性。2012年12月より腹部違和感持続し血便を3回認めた。近医での便潜血検査陽性であり精査加療目的に2月25日当科紹介入院。血液検査所見ではHb 12.0g/dlと貧血認め、CRP1.30mg/dlと軽度上昇していたが、CEA、CA19-9、IL2-R、HTLV-1抗体は正常範囲で結核菌エリスポット陰性であった。腹部造影CT検査所見では盲腸から上行結腸に全周性壁肥厚と周囲のリンパ節腫大を認めた。大腸内視鏡検査所見では盲腸から上行結腸に全周性不整形潰瘍認め、生検による病理組織学的検査所見で異型リンパ球を認めたことから免疫染色施行したが、T細胞性リンパ腫が疑われるも確定診断には至らなかった。入院後貧血は徐々に増悪し38度台の発熱も認め腸管穿孔も否定できないことから3月14日に回盲部切除術およびリンパ節廓清を施行した。術中所見では盲腸から上行結腸の潰瘍底が穿孔しており腫瘍近傍のリンパ節が腫大していた。多角的解析(READ system)を依頼したところ免疫組織化学的検討ではCD3、CD8、CD56、TIA1、granzymeB陽性、in situ hybridizationではEpstein-Barr Virus陽性であり、最終診断はNK/T細胞リンパ腫、鼻型であった。術後経過は良好で発熱や血便も認めないことから3月23日退院となったが、術後に施行したPET-CT検査で転移リンパ節の遺残が疑われたことから他院血液内科へ紹介となった。【考察】悪性リンパ腫の多くはB細胞性であり、NK/T細胞リンパ腫、鼻型の報告は全悪性リンパ腫の約1.3%と稀である。本疾患はEpstein-Barr Virus の関与が疑われ、皮膚、上気道、肺、消化管、精巣などに発生し、治療法はCHOP 療法や放射線治療等が行われるが治療抵抗性であることから進行期の予後は平均1年以内と極めて不良である。本疾患における消化器症状は本症例のように消化管出血や下痢が多く腸管穿孔をきたす報告が多い。本症例のような不整形潰瘍を腸管に認めた場合はNK/T細胞リンパ腫の可能性も考慮し、詳細な全身検索および病理組織学的検索が必要である。
索引用語 NK/T細胞リンパ腫, 腸管穿孔