セッション情報 一般演題

タイトル O-57:

Gemcitabine, Erlotinib, TS-1による術前化学療法により治癒切除が可能となった膵癌の1例

演者 米山 和夫(秋田組合総合病院 消化器科)
共同演者 渋谷 健吾(秋田組合総合病院 消化器科), 大高 日本(秋田組合総合病院 消化器科), 木下 展克(秋田組合総合病院 消化器科), 和田 勲(秋田組合総合病院 消化器科), 津田 栄彦(秋田組合総合病院 消化器科), 藤井 公生(秋田組合総合病院 消化器科), 星野 孝男(秋田組合総合病院 消化器科), 若林 俊樹(市立秋田総合病院 外科), 佐藤 勤(市立秋田総合病院 外科), 渡部 博之(秋田組合総合病院 消化器科)
抄録 【症例】66歳、女性【既往歴】特記事項なし【現病歴】H23.11月、腹痛を主訴に近医受診。USで膵頭部腫瘤を認め精査目的に当科紹介となった。受診時、軽度の心窩部痛の訴えがあった。US、CTでは膵頭部に辺縁不整、最大径25mm、造影効果の乏しい腫瘤を認め、上流膵管は拡張していた。遠隔転移は認めなかったが、門脈―上腸間膜静脈合流部に腫瘍が接しており、また肝門部リンパ節腫大が認められた。EUSで同腫瘤は低エコーのsolid tumorとして描出され、門脈への浸潤が疑われた。22G針でFNAを施行しadenocarcinomaの確定診断を得た。以上より膵頭部癌Stage IVa以上で治癒切除不能症例と診断し、化学療法を開始した。【経過】化学療法の1st lineとしてGemcitabine(GEM)100mg/m2 2投1休+Erlotinib 100mg連日投与を選択し、H24.1月から開始した。開始後5日目から顔面と前胸部に皮疹が出現し、対症療法を継続したが徐々に全身に出現を認めた。開始2ヶ月目のCTでは腫瘍の縮小を認めたが、特に足底の水泡性皮疹が高度となり(Grade 3)、中止を余儀なくされた。約1ヶ月間の休薬ののち、同量のGEM+TS-1 80mg連日内服にレジメンを変更し化学療法を再開した。H24.8月のCTではSDが維持されており、脈管浸潤が軽減していると考えられた。EUS所見でも診断時に比し明らかに門脈浸潤が軽快しており、腫瘍と脈管は接する程度まで改善していた。治癒切除可能な状態と考えられ、ご本人ご家族の希望で市立秋田総合病院外科に紹介、H24.9月に手術を行った。膵頭十二指腸切除、門脈合併切除が施行されたが、病理検討では腫瘍と門脈は癒着のみで明らかな浸潤は認めなかった。その後、当科で化学療法継続中であるが、術後8ヶ月現在、再発なく経過している。【結語】術前化学療法が有効であった膵癌の1例を経験した。脈管浸潤の評価には造影CTとともにEUSが有効と考えられた。
索引用語 術前化学療法, 膵臓癌