セッション情報 一般演題

タイトル O-32:

悪性大腸狭窄に対する大腸ステント治療の検討

演者 高橋 一徳(青森県立中央病院 消化器内科・腫瘍内科DELIMITER弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座)
共同演者 菊池 英純(青森県立中央病院 消化器内科・腫瘍内科DELIMITER弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座), 島谷 孝司(青森県立中央病院 消化器内科・腫瘍内科DELIMITER弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座), 伊藤 智子(青森県立中央病院 消化器内科・腫瘍内科), 金澤 浩介(青森県立中央病院 消化器内科・腫瘍内科DELIMITER弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座), 沼尾 宏(青森県立中央病院 消化器内科・腫瘍内科DELIMITER弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座), 棟方 正樹(青森県立中央病院 消化器内科・腫瘍内科DELIMITER弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座), 福田 眞作(弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座)
抄録 【はじめに】悪性大腸狭窄に対し、Self expandable metallic stent(SEMS)の留置が2012年に保険収載され、緩和治療と術前減圧治療への新たな選択肢となった。【目的】当院における悪性大腸狭窄に対する大腸ステント挿入例を検討する。【対象と方法】2012年6月から当科で大腸ステントを留置した23例(大腸癌17例、直腸癌4例、膵癌・卵巣癌各1例)で、性別、年齢、原疾患、留置目的・部位、大腸閉塞スコア(CROSS)による改善度、術後合併症、化学療法の内容等を検討した。大腸ステントはすべてWallflex colonic stent(Boston社製)で、長径は22mmでステント長9cmが13 例、6cmが7例、12cmが3例であった。【結果】性別では男性14例、女性9例、平均年齢63.7歳であった。狭窄部位は直腸4例、S状結腸11例、下行結腸5例、横行結腸2例、上行結腸2例であった。ステント留置率は100%であった。手術は15例で、うち13例はBridge to surgey(BTS)として術後化学療法を行い、2例は術後に緩和治療へ移行した。術式は15例中3例が人工肛門造設術で、12例が腸管切除術であった。留置前CROSSは平均1.4(0-3)、留置後CROSSは平均3.2(2-4)であった。術後合併症は特に認められなかった。全例で飲水可能となり、10例で経口での栄養摂取が可能となった。食事開始までの期間は平均4.1日(0~18日)で、手術までの期間は平均8.0日(4~13日)であった。ステント留置後は、5例が緩和医療に移行し(うち術後は2例)、1例はstageIIだったため治療せず、16例は術後化学療法を施行した。術後化学療法は、stageII high risk 3例とstageIIIa 1例に対してはXelodaを、stageIIIb 2例に対してはmFOLFOX6療法を施行した。80代で癌性腹膜炎症例と多発性肝・肺転移症例の2例は緩和的化学療法としてsLV5FU2療法を施行した。8例はstageIVでmFOLFOX6療法(BV併用2例)を施行した。合併症としては早期からの減圧不良1例とステント脱落が1例であった。【結語】大腸ステント留置は低侵襲で、安全に施行でき、術前及び姑息的留置いずれでも有用と考えられた。今後、長期経過での安全性の問題があり、更なる症例の積み重ねによる検討が必要である。
索引用語 悪性大腸狭窄, 大腸ステント