セッション情報 特別企画 後期研修医(卒後3-6年迄)

タイトル O-12:

当科における十二指腸乳頭部腫瘍に対する内視鏡を用いた進展度診断の課題

演者 五十嵐 剛(青森市民病院 消化器内科)
共同演者 吉村 徹郎(青森市民病院 消化器内科), 川口 章吾(青森市民病院 消化器内科), 和田 豊人(青森市民病院 消化器内科), 福田 眞作(弘前大学医学部 消化器血液内科)
抄録 【背景】近年、腹部超音波検査や上部消化管内視鏡検査の普及により十二指腸乳頭部腫瘍の発見機会も増加している。一部の症例においては、外科治療に比べ低侵襲である内視鏡的乳頭部切除術(EP)による治癒が可能である。EPもしくは外科的切除術を選択するためには正確な進展度診断が必要である。【目的】2011年4月~2013年5月までの期間で、EPもしくは外科治療が行われた乳頭部腫瘍症例について、術後標本の病理学的検索を行い、治療法選択の妥当性を検討し、術前進展度診断の課題を検索すること。【対象と方法】上記期間内に乳頭部腫瘍症例は6例であり、腺癌が3例、腺腫が3例であった。当科では術前診断の際、主にCT、MRI、内視鏡的逆行性胆道膵管造影検査(ERCP)、管腔内超音波検査(IDUS)を活用している(2012年3月以降は、当施設でも超音波内視鏡(EUS)が使用可能になった)。【結果】4例で術前診断と術後診断は一致した(この4症例の内、3例にEP、1例に外科的切除術が施行された)。術前診断と術後診断の間に差が生じた2症例に関して検討する。1症例目;術前にERCP、IDUSを施行し、胆管膵管に進展が無い腺癌と診断した。EPを施行したが、術後標本で十二指腸固有筋層までの浸潤が認められた。2症例目;ERCPで総胆管下部に造影欠損を認め、胆管浸潤を伴う腺癌と診断した。外科治療を施行したが、術後標本では下部総胆管への浸潤は認められなかった。【考察】1症例目;IDUSで評価したが、十二指腸への浸潤の判定は困難であった。画像診断法の特性を生かし、EUSの併用が必要であったと考える。2症例目;ERCPにおける造影欠損は、腫瘍進展以外の因子によっても生じ得、診断精度をあげるためには、EUS並びにIDUSを併用した上で診断するべきと考える。最後に、症例を積み重ね定期的に自施設の診断精度を確認し診療にfeed backする事が必要である。術後標本の病理学的検索を行うことで、治療後の画像評価間隔の決定や、追加治療の必要性の判断に反映させる事が重要と考える。
索引用語 十二指腸乳頭部腫瘍, 内視鏡的乳頭部切除術