セッション情報 一般演題

タイトル O-53:

膵腫瘍と鑑別を要した膵内副脾の1例

演者 小山 隆男(つがる西北五広域連合 西北中央病院DELIMITER弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座)
共同演者 高橋  敏之(つがる西北五広域連合 西北中央病院), 相澤 秀(つがる西北五広域連合 西北中央病院), 千葉 裕樹(つがる西北五広域連合 西北中央病院DELIMITER弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座), 佐々木 洸太(つがる西北五広域連合 西北中央病院), 高杉 滝夫(つがる西北五広域連合 西北中央病院), 福田 眞作(弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座)
抄録 【症例】55歳、男性【既往歴】特記すべきことなし【現病歴】平成23年9月、全身倦怠感、腹部膨満のため他院を受診。アルコール性肝硬変、腹水貯留と診断され、治療目的に当科紹介受診となった。禁酒として利尿剤、混合アミノ酸製剤の投与にて症状は改善し、以後当科外来にて定期的にフォローアップを行っていた。平成24年9月の腹部USにて、膵尾部に19mm大のやや低エコーで内部が均一な腫瘤を認めた。dynamic CTを施行したところ、膵尾部に境界明瞭な20mm大の腫瘤を認め、早期相では膵実質よりlow densityで不均一な増強効果を示し、門脈相・平衡相では膵実質と同等かやや強い増強効果を示していた。dynamic CTの結果からは膵癌を疑い、Gd-EOB dynamic MRIを施行したところ、いずれのsequenceでも脾と同等の信号を示し、造影でも脾と同様の増強効果を示していたため、辺縁が明瞭で平滑な形状とあわせて膵内副脾の可能性を放射線科より指摘された。SPIO-MRIを施行したところ、膵尾部の腫瘤は造影後のT2/ T2*強調像で脾と同様に低信号域となり、膵内副脾と診断された。フォローアップのため施行した平成25年5月のdynamic CTでは、膵尾部の腫瘤は大きさ、性状とも変化は認めていない。【考察】副脾の発生頻度は人口の約10%とされ、多くは、脾門部、脾下端、膵尾部などの脾動脈支配領域に存在し、膵尾部に見られるものは約20%とされる。血流が豊富な類円形腫瘤であり、内分泌腫瘍、腎細胞癌などの多血管性腫瘍の膵転移などが鑑別疾患として挙げられるが、特に、非機能性膵内分泌腫瘍との鑑別が問題となる。典型例では、dynamic CTの早期相で膵実質より増強効果を認めるが、本症例では膵実質よりlow densityとなったため、膵癌との鑑別も要したが、SPIO-MRIにて膵内副脾と診断可能であった。膵尾部の腫瘤では鑑別診断に膵内副脾を考慮すべきであり、その診断にはSPIO-MRIが有用であると考えられた。
索引用語 膵内副脾, SPIO-MRI