セッション情報 一般演題

タイトル O-49:

急激な経過をたどったClostridium perfringens肝膿瘍の1例

演者 樋口 博之(むつ総合病院 消化器内科・内科DELIMITER弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座)
共同演者 宮澤 邦昭(むつ総合病院 消化器内科・内科DELIMITER弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座), 安達 淳治(むつ総合病院 消化器内科・内科DELIMITER弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座), 八森 久(むつ総合病院 消化器内科・内科), 岡本 豊(むつ総合病院 消化器内科・内科), 葛西 雅治(むつ総合病院 消化器内科・内科), 相馬 悌(むつ総合病院 消化器内科・内科), 福田 眞作(弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座)
抄録 【症例】87歳、女性【主訴】呼吸苦、意識障害【既往歴】高血圧症、手術歴なし、他詳細不明【現病歴】2012年6月18日夕方から呼吸苦を訴えていた。もともと認知症は認めず、ADLも自立していた方だが、同日夜間から見当識障害を認め、午後9時に便失禁。その後うなったり、りきんだりして様子がおかしいと家族が判断し、午後11時48分救急要請し当院ERへ搬送となった。【搬送時現症】体温36.7 ℃、血圧168/81 mmHg、脈拍138 bpm、SpO2 94 %、GCS:E4V5M6。呼吸は苦悶様で不穏状態。【検査所見】採血は2 回行われたが、2 回の検体とも、高度の溶血のため、生化学検査は測定不能であった。末梢血液検査では、白血球数は検査不能であり、高度の赤血球減少を認めた。動脈血ガス分析では著しい低酸素血症を認めた。胸部X線:両肺野に浸潤影を認めた。単純腹部X線:右横隔膜下に円形ガス像を認めた。腹部US/CT:肝臓のS8/7 に約40 mmの円形ガス像を認め、ガス産生菌による肝膿瘍と考えられた。【搬送後経過】午後11時48分当院へ搬送。発語可能であったが、徐々に意識レベル低下し、呼吸も微弱、血圧低下していった。採血部位の止血が得られず、血尿も認め、出血傾向を認めた。気管内挿管の上で人口補助換気、カテコラミン投与したが、心肺停止となり6月19日午前1時43分死亡確認。後日得られた血性水疱の培養検査からClostridium perfringensが検出された。【考察】急激な経過や培養・画像検査から、Clostridium perfringensによる肝膿瘍が疑われた。【結語】今回我々は急激な経過をたどったClostridium perfringens肝膿瘍と思われる1例を経験した。本菌による重症感染症は年間1~2例報告がある。そのなかでも、非外傷性例は予後が悪く本症例のように短時間で死亡する例が多く、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 Clostridium perfringens, 肝膿瘍