セッション情報 特別企画 初期研修医(卒後2年迄)

タイトル O-19:

薬物性肝障害を契機に発症したと考えられるIgG4関連自己免疫性肝炎の一例

演者 吉田 直記(岩手県立中央病院 消化器科)
共同演者 池端 敦(岩手県立中央病院 消化器科), 大方 英樹(岩手県立中央病院 消化器科), 阿部 康弘(岩手県立中央病院 消化器科), 城戸 治(岩手県立中央病院 消化器科), 小原 範之(岩手県立中央病院 消化器科), 横山 直信(岩手県立中央病院 消化器科), 高橋 太郎(岩手県立中央病院 消化器科), 三浦 真奈美(岩手県立中央病院 消化器科), 松本 信(岩手県立中央病院 消化器科), 小野 貞英(岩手県立中央病院 病理診断科), 村上 晶彦(岩手県立中央病院 内視鏡科), 天野 良彦(岩手県立中央病院 内視鏡科)
抄録 【症例】80歳代,男性.主訴:全身倦怠感,食欲低下.既往歴:胃潰瘍.飲酒歴:なし.現病歴:1カ月前に感冒様症状があり前医で処方された薬物を服用した.1週間前より上記症状が出現し,肝機能異常を指摘され紹介となった.現症:血圧136/64mmHg,脈拍69/分.体温36.6度.結膜に黄疸あり.血液検査では抗核抗体40倍陽性, IgG 2058g/dl,IgG4 203g/dl,T-bil 4.22mg/dl,AST 991IU/l,ALT 1065IU/l,ALP 631IU/l,白血球4020/μl,好酸球3.7%であった.DLSTでは鎮咳剤,感冒薬配合剤,スタチン,H2受容体拮抗剤など複数の薬剤で陽性であった.CTでは肝内胆管の軽度拡張,総胆管壁の造影増強効果,胆嚢癖の肥厚,両側肺門リンパ節腫大がみられた.MRCPでは主膵管に異常なく総胆管下部に小結石を疑う低信号がみられた.ERCPでは総胆管,主膵管に異常はみられなかった.肝生検では門脈域の線維性拡大,リンパ球や形質細胞などの炎症細胞浸潤がみられた.一部ではinterface hepatitisや胆管傷害を疑う像がみられた.免疫染色では門脈域でIgG4陽性形質細胞浸潤(平均5.4個/HPF)がみられた.AIHスコアリングシステムで6点AIH疑診であった.第26病日よりプレドニゾロン30mg/日より開始されたが,肝機能は速やかに改善を示した.徐々に漸減し現在5mg/日で維持投与されているが肝機能の悪化はみられていない.【考察】自己免疫性肝炎のなかで高IgG4血症と著明なIgG4陽性形質細胞浸潤を呈する症例がみられ, IgG4関連自己免疫性肝炎として提唱されている.本例では高IgG4血症,IgG4陽性形質細胞浸潤がみられておりIgG4関連の肝障害と考えられる.さらに,薬物性肝障害が発症の契機となっている点が特徴的と考えられる.【結語】薬物服用後DLST陽性を示し,高IgG4血症と著明なIgG4陽性形質細胞浸潤がみられたIgG4関連自己免疫性肝炎と考えられる1例を経験した.
索引用語 IgG4関連自己免疫性肝炎, 高IgG4血症