セッション情報 一般演題

タイトル O-06:

原発性胆汁性肝硬変に対する生体肝移植の長期成績

演者 中西 史(東北大学病院 移植・再建・内視鏡外科DELIMITER岩手県立中央病院)
共同演者 川岸 直樹(東北大学病院 移植・再建・内視鏡外科), 佐藤 和重(東北大学病院 移植・再建・内視鏡外科), 宮城 重人(東北大学病院 移植・再建・内視鏡外科), 武田 郁央(東北大学病院 移植・再建・内視鏡外科), 戸子台 和哲(東北大学病院 移植・再建・内視鏡外科), 大内 憲明(東北大学病院 移植・再建・内視鏡外科)
抄録 【はじめに】原発性胆汁性肝硬変(PBC)の本邦における生体肝移植の5年生存率は76%と良好であるが、一般に脳死肝移植で約10%、生体肝移植で20-30%に再発するといわれている。その多くが無症候性で、予後に影響しないといわれているが、長期経過や再発に影響する因子などは不明な点が多い。【目的】PBCにおける生体肝移植後の長期経過と、再発に影響する因子を明らかにすることを目的とした。【方法】当科では1997年6月より2012年12月までPBCの診断で18例の生体肝移植を行った。そのうち術後6ヶ月以上生存した14例を対象としてretrospectiveに検討した。観察期間中央値は199-3524日(中央値1758日)。移植時の平均年齢は52歳、13例が女性。維持免疫抑制剤(6ヶ月以降)はタクロリムス9例、シクロスポリン5例で、10例にMMF併用。10例でステロイドを中止している。11例に抗CD25抗体による導入療法を施行。1例のABO不適合移植で、Rituximabと血漿交換、動注療法を施行。全例UDCAを内服している。【結果】急性細胞性拒絶は7例(50%)に認め、1例はステロイド抵抗性であった。生検にて診断された再発は認めていないが、ALPとrGTP/T-Bilの持続上昇を5例(50%)に認めた。多変量解析ではHLAミスマッチ数が2以下の症例で有意にALPとrGTP/T-Bil上昇していた。また、術前M2抗体価が低い症例で術後ALP高値が持続していた。とくに2例で術後M2が陰性化しているが、うち1例は術後18ヶ月に薬剤性肝障害によるグラフト不全で失っており、もう1例は術後7年頃よりALP,T-bilの上昇を認め、肝生検を考慮している。グラフト不全で失った1例と他病死(口腔癌)の1例を除き、全例状態良好で外来通院中である。【結論】生検にて診断された再発は認めないものの、胆道系酵素上昇から再発を疑う症例も認め、術前後のM2抗体価やHLAミスマッチ数との相関が認められた。生検を含め十分なフォローが必要であるが、QOLは良好であり、PBCに対する生体肝移植は良好な長期予後が期待できる。
索引用語 原発性胆汁性肝硬変, 生体肝移植