セッション情報 一般演題

タイトル O-24:

原発性腹膜垂炎の3例

演者 安藤 正勝(国立病院機構仙台医療センター 総合診療科)
共同演者 高橋 広喜(国立病院機構仙台医療センター 総合診療科), 野口 謙治(国立病院機構仙台医療センター 消化器内科), 真野 浩(国立病院機構仙台医療センター 消化器内科), 鵜飼 克明(国立病院機構仙台医療センター 消化器内科), 田所 慶一(国立病院機構仙台医療センター 消化器内科), 力丸 裕哉(国立病院機構仙台医療センター 放射線科), 佐藤 明弘(国立病院機構仙台医療センター 放射線科)
抄録 【はじめに】原発性腹膜垂炎は急性虫垂炎、憩室炎など急性腹症の鑑別において考慮すべき疾患である。今回我々は原発性腹膜垂炎の3例を経験したので文献的考察を加え報告する。【症例1】67歳男性。平成21年8月発症。突然の左下腹部痛が出現し、自宅にて経過観察をしていたが改善しないため、翌日に当院消化器内科を受診した。圧痛は左下腹部に限局しており、筋性防御や反跳痛は判然としなかった。発熱なく、採血での炎症反応の上昇は軽度であった。CTにてS状結腸の外側に球状の脂肪濃度の病変を認めたため原発性腹膜垂炎と診断した。入院後保存的加療にて症状が改善し、第7病日に退院となった。【症例2】50歳男性。平成22年4月発症。C型慢性肝炎にて当院消化器内科通院中。数日前からの左側腹部痛を主訴に受診した。圧痛は左下腹部に限局し、筋性防御や反跳痛は認めなかった。CTにてS状結腸外側に脂肪濃度を含む腫瘤を認めたため原発性腹膜垂炎と診断した。発熱や採血での炎症反応の上昇は認めず、受診時は症状改善傾向であったため外来で経過観察を行い軽快した。【症例3】32歳男性。平成25年10月発症。1週間前からの左下腹部痛を主訴に当科を受診した。左下腹部に限局した圧痛を認め、同部に小指頭大の腫瘤を触知した。筋性防御や反跳痛は認めなかった。CTにてSD junction腹側に特徴的な脂肪濃度の病変を認めたため、原発性腹膜垂炎と診断した。発熱や採血での炎症反応の上昇は認めず、症状も改善傾向であったため外来にて経過観察し、症状は軽快した。【考察】原発性腹膜垂炎は比較的まれな疾患であるが、多くは自然軽快する予後良好な疾患であり、特徴的な画像所見から診断は可能ではある。しかし発症部位によっては急性虫垂炎や憩室炎に臨床所見が類似するため、外科的治療を含めた過剰な治療を行われる可能性がある。急性腹症の診療の際、原発性腹膜垂炎の可能性を念頭に置き、診断することが重要と考えた。
索引用語 腹膜垂炎, 急性腹症