セッション情報 一般演題

タイトル O-70:

全身性エリテマトーデス(SLE)に合併したループス腸炎の一例

演者 小豆嶋 立頼(岩手医科大学 医学部 内科学講座 消化器内科 消化管分野)
共同演者 久多良 徳彦(岩手医科大学 医学部 内科学講座 消化器内科 消化管分野), 富田 一光(岩手医科大学 医学部 内科学講座 消化器内科 消化管分野), 松田 望(岩手医科大学 医学部 内科学講座 消化器内科 消化管分野), 小坂 崇(岩手医科大学 医学部 内科学講座 消化器内科 消化管分野), 赤坂 理三郎(岩手医科大学 医学部 内科学講座 消化器内科 消化管分野), 佐藤 邦彦(岩手医科大学 医学部 内科学講座 消化器内科 消化管分野), 柴田 將(岩手医科大学 医学部 内科学講座 消化器内科 消化管分野), 安孫子 幸人(岩手医科大学 医学部 内科学講座 消化器内科 消化管分野), 小穴 修平(岩手医科大学 医学部 内科学講座 消化器内科 消化管分野), 廣田 茂(岩手医科大学 医学部 内科学講座 消化器内科 消化管分野), 遠藤 昌樹(岩手医科大学 医学部 内科学講座 消化器内科 消化管分野), 千葉 俊美(岩手医科大学 医学部 内科学講座 消化器内科 消化管分野), 松本 主之(岩手医科大学 医学部 内科学講座 消化器内科 消化管分野)
抄録 【はじめに】全身性エリテマトーデス(SLE)患者の約半数には何らかの消化器症状が出現すると言われている。ループス腸炎は、小動脈・毛細血管・細静脈などの小血管炎から生じ、主に漿膜面の虚血が主体と考えられている。食道から直腸までさまざまな区域・範囲に及び、一般的にSLE活動期に発症するケースが多いと言われている。今回SLEに合併したループス腸炎の一例を経験したので報告する。【症例】60代女性。【既往歴】57歳時よりSLEにて通院中。プレドニゾロン(以下:PSL)5mg内服にて症状は安定していた。【家族歴】特記事項なし。【現病歴】平成25年7月8日未明より嘔吐出現したため同日近医受診。胃腸炎の診断で内服処方されたが、その後も症状改善認めなかったため翌日当科初診となった。【検査所見】血液検査にて軽度の炎症反応上昇(WBC;6790/μl、CRP;1.59mg/dl)と抗ds-DNA抗体の上昇(12.1IU/ml)を認めた。またCTにて食道、胃、十二指腸、空腸の著明な壁肥厚と腹水を認めた。上部消化管内視鏡検査施行では、逆流性食道炎の所見のみであり粘膜面の病変は認めなかった。【経過】各種検査所見よりループス腸炎が疑われ入院加療を開始。絶食管理の上でPSL25mg投与を開始した。入院後症状は改善見られ、第8病日のフォローアップCTで胃壁肥厚の改善を認めた。第15病日のCTでは食道から空腸の壁肥厚像の消失が見られたため、同日より食事開始。PSL内服量を漸減し、PSL10mg/日内服にて第23病日自宅退院となった。【考察】本症例は嘔気を契機に精査され、各種検査所見より診断は比較的容易であった。SLEの臨床症状は落ち着いていたが、抗ds-DNA抗体の上昇を認めたため疾患活動性の高い状態にあったと考えられた。SLE活動期に消化管症状を発症した場合は本疾患を想起しやすいと思われるが、活動期以外にも発症する例があるため注意を要する。また腸間膜動脈など太い血管の血管炎では阻血性壊死を呈することもあるため、急性腹症を生じた際はこれらの鑑別も必要である。【結語】SLE患者が消化器症状を訴えた際には、常にループス腸炎を念頭に置く必要があると考えられた。
索引用語 ループス腸炎, SLE