セッション情報 特別企画 後期研修医(卒後3-6年迄)

タイトル O-16:

劇症肝炎後に再生不良性貧血をきたした1例

演者 吉田 健太(弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座)
共同演者 遠藤 哲(弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座), 速水 史郎(弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座), 渡邊 清誉(弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座), 鎌田 耕輔(弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座), 坂本 有希(弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座), 立田 哲也(弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座), 太田 健(弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座), 三上 健一郎(弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座), 佐藤 研(弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座), 山形 和史(弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座), 福田 眞作(弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座)
抄録 【はじめに】急性肝炎後に汎血球減少をきたす場合はしばしば経験され、その原因として二次性の再生不良性貧血を発症している場合がある。その際に先行する肝炎は何らかのウイルス感染が原因であると考えられているが、確定されない場合が多い。今回我々は、急性発症した劇症肝炎後に再生不良性貧血をきたしたと考えられる1例を経験したので報告する。【症例】65歳、男性。【主訴】意識障害、肝機能異常【既往歴】胆嚢結石症、虫垂炎、直腸癌(10年以上前に手術歴あり)【現病歴】H25年9月1日キノコ採りに出かけ、帰宅後、嘔吐あり。その後体調不良を訴え、意識消失状態にて近医を受診。代謝性アシドーシスと著明な肝機能異常を認め、血液検査ではDICの状態であり、9月2日前医入院となった。意識状態は改善せず、データも増悪傾向にあり、9月4日劇症肝炎による意識障害疑いにて、集学的治療目的に当院紹介となった。当院入院時の血液検査では、Hb 12.4 g/dL、WBC 1670 /μL(neutro 82 %)、Plt 1.8万/μL、Ret 6.4‰であり、骨髄検査では血球貪食像を認めた。CHDF、PE、輸血、免疫グロブリン製剤投与、トロンボモジュリン製剤、抗生剤投与などの治療で状態の改善を図りながら原因検索を行うも、ウイルス感染を特定できず自己抗体も陰性であり、原因不明であった。その後も支持療法を継続し、徐々に意識レベル、肝機能・凝固線溶系の改善を認めたが、HUS、DIC、下血の影響と考えられていた汎血球減少は改善せず、赤血球濃厚液や血小板輸血を要した。9月下旬に行った肝生検では急性肝炎の所見として矛盾せず、10月に再検した骨髄穿刺(腸骨および胸骨)では骨髄は低形成であり、染色体異常を認めないことや胸腰椎MRI検査での骨髄の脂肪化も含めて再生不良性貧血(重症度分類:やや重症)と診断した。血液検査データの推移より頻回の輸血は必要なく、10月下旬退院、外来で経過観察することとした。【結語】本症例のような急性肝炎後に発症する再生不良性貧血の報告は主に若年者で散見されるが、貴重な症例と考え報告する。
索引用語 肝炎, 再生不良性貧血