セッション情報 ワークショップ13(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

高齢者上部消化管出血における止血治療戦略-静脈瘤を除く

タイトル 内W13-10:

後期高齢者(75歳以上)の上部消化管非静脈瘤消化管出血に対する緊急内視鏡の現状

演者 井上 義博(岩手医大・救急医学)
共同演者 藤野 靖久(岩手医大・救急医学), 小野寺 誠(岩手医大・救急医学)
抄録 <目的>後期高齢者における消化管出血の治療の現状を検討する。<対象>1989年から2010年までに当施設で経験した後期高齢者上部消化管出血607例。尚、当施設の内視鏡治療について、上部消化管非静脈瘤出血はヒータープローブ(以下HP)による熱凝固止血を中心に施行している。Informed consent(IC)は本人あるいは家族に対し、内視鏡施行前にできるだけ行うようにし、様々な承諾書もできるだけ取得するが、状況に応じ取得できない症例もある。前処置はキシロカインによる咽頭麻酔のみで、鎮静剤は内視鏡施行中に必要に応じて投与している。内視鏡治療後は入院加療となるが、潰瘍出血では非高齢者と同様にsecond look endoscopyを施行し、必要に応じて追加治療を行っている。<結果>後期高齢者の上部消化管出血は全体2986例の20.3%であった。内訳は胃潰瘍263例、十二指腸潰瘍82例、食道出血81例、静脈瘤48例などで、静脈瘤が少ない傾向にあった。この内、内視鏡治療症例は胃潰瘍242例、十二指腸潰瘍70例、静脈瘤47例などで、潰瘍と静脈瘤は90%以上の症例が内視鏡治療対象となっていた。潰瘍は男性185例、女性160例と非高齢者より女性の割合が高く、再出血及び死亡症例は胃潰瘍で26例9.9%、12例4.6%、十二指腸潰瘍で10例12.2%、11例13.4%と非高齢者と比較し、何れも高い傾向にあった。<まとめ>後期高齢者の上部消化管出血は全体の約20%で、内視鏡治療は非高齢者と同様に施行できたが、死亡例が多い傾向にあった。
索引用語 上部消化管出血, 内視鏡止血