セッション情報 | 特別企画 初期研修医(卒後2年迄) |
---|---|
タイトル | W1-03:Trousseau症候群を併発した膵癌の3例 |
演者 | 横野 良和(青森県立中央病院 消化器内科) |
共同演者 | 菊池 英純(青森県立中央病院 消化器内科DELIMITER弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座), 高橋 一徳(青森県立中央病院 消化器内科DELIMITER弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座), 島谷 孝司(青森県立中央病院 消化器内科DELIMITER弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座), 伊藤 智子(青森県立中央病院 消化器内科), 金澤 浩介(青森県立中央病院 消化器内科), 沼尾 宏(青森県立中央病院 消化器内科), 棟方 正樹(青森県立中央病院 消化器内科), 福田 眞作(弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座) |
抄録 | 【はじめに】Trousseau症候群は、悪性腫瘍により血液凝固異常を生じ脳梗塞や静脈血栓症を発症する病態であり、一般に予後不良である。膵癌は、消化器癌の中でも血栓症の合併頻度の高い癌腫とされている。【症例1】65才女性、2007年より膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)として経過観察をされていたが、2012年7月7日に意識障害、左片麻痺が出現して当院神経内科入院。頭部MRIで多数の梗塞巣を認めた。腫瘍マーカーは上昇し、腹部CTで膵IPMNは増悪、PET-CTでもFDGの高度集積を認めたことから、IPMN悪性化によるTrousseau症候群と診断した。同年7月30日に当科転科したが、出血性梗塞を発症して8月15日に永眠された。【症例2】66才男性、2013年7月17日に複視・歩行障害で救急受診、当院神経内科入院となった。両側テント上下に多発する脳梗塞であり、Trousseau症候群を疑い精査したところ膵癌、多発肝転移を認め当科転科となった。GEMによる全身化学療法を開始したが、同年9月に深部静脈血栓症を発症、10月に脳梗塞を再発、さらに骨転移出現によるADL低下も認め、10月31日緩和目的に転院となった。【症例3】68才男性、2013年10月に心窩部痛で近医を受診したところ腹水を指摘され10月21日に当科紹介。同日の精査CTにて膵尾部癌と多発肝転移を認め入院となった。全身化学療法を開始する予定であったが10月22日夜にせん妄症状が出現。頭部CTで右後頭葉に脳梗塞を認め、神経内科よりTrousseau症候群と診断された。現在も当科にて治療継続中である。【考察】Trousseau症候群の機序は単一ではなく、凝固能亢進、内皮細胞障害、血流うっ滞などが考えられている。またムチン産生腫瘍で凝固異常を起こしやすいとの報告もある。本疾患では皮質性梗塞が多く、血栓症の多発・再発をすることが臨床的特徴である。癌診療の発展に伴い同様の全身合併症は増加することが予想されるが、文献的考察と当院での現状を含めて報告する。 |
索引用語 | Trousseau症候群, 膵癌 |