セッション情報 特別企画 後期研修医(卒後3-6年迄)

タイトル W2-02:

膵頭十二指腸切除術後に発症し急速に進行した非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の一例

演者 浅間 宏之(福島労災病院 消化器科)
共同演者 鈴木 智浩(福島労災病院 消化器科), 喜田 栄作(福島労災病院 消化器科), 松橋 暢生(福島労災病院 消化器科), 市井 統(福島労災病院 消化器科), 田井 真弓(福島労災病院 消化器科), 江尻 豊(福島労災病院 消化器科), 箱崎 半道(福島労災病院 臨床病理科)
抄録 【症例】60代女性.【主訴】腹部膨満.【現病歴】2012年5月, 膵管内乳頭粘液性腺癌(上皮内癌)にて当院外科で膵頭十二指腸切除術(PD)を施行された.同年8月頃より,倦怠感,食欲不振などが出現し,11月に腹水貯留を指摘され外科に再入院した.腹水穿刺などを施行され、2013年1月に退院した.3月に再度腹水貯留を認め,精査加療目的に当科へ紹介された.【既往歴】糖尿病,甲状腺機能低下症.【生活歴】飲酒なし,喫煙なし.【経過】腹部超音波検査,腹部単純CT検査にて,多量の腹水と肝臓の高度脂肪沈着を認めた.血液検査では血清アルブミンが1.9g/dlと低下しており,血小板,プロトロンビン時間の低下と肝胆道系酵素の軽度上昇を認めた.肝性腹水を疑い,利尿剤,アルブミン製剤,アミノ酸製剤などの投与を行い,栄養状態の改善と腹水の消失を認めた.腹水消失後に肝生検を施行し,肝細胞の大滴性脂肪変性と強い線維化を認め,Brunt分類Grade2,Stage3のNASHと診断した.膵外分泌機能低下によるNASHと考え,パンクレリパーゼなどの内服による膵酵素補充療法を施行した.その後,肝機能は正常化し,肝臓の脂肪沈着も改善した.【考察】膵切除後にはNASHが引き起こされることがあり,発症機序として,膵外分泌機能低下による脂肪の吸収障害や,術後感染症による肝臓へのエンドトキシンの移行などが考えられている.本例では,術後1ヶ月と術後早期から脂肪肝を発症しており,数か月の間に急速に線維化が進行したと考えられる.急速に進行した要因として,術前より慢性膵炎などにより膵外分泌機能が低下していた可能性や,もともと何らかの慢性肝疾患を有していた可能性が考えられた.【結語】PD後に発症し,急速に進行したNASHの一例を経験した.膵切除後には,術後早期からNASHを発症する可能性があり,術後は原疾患の再発のみならず,肝障害の出現にも注意する必要がある.
索引用語 非アルコール性脂肪性肝炎, 膵頭十二指腸切除術後