セッション情報 | シンポジウム2「高齢者肝胆膵疾患に対する診療の工夫」 |
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タイトル | S2-10:高齢者の悪性胆道狭窄に対する内視鏡胆道ドレナージ術の検討 |
演者 | 虻江 誠(宮城県立がんセンター 消化器科) |
共同演者 | 鈴木 雅貴(宮城県立がんセンター 消化器科), 塚本 啓祐(宮城県立がんセンター 消化器科), 及川 智之(宮城県立がんセンター 消化器科), 相澤 宏樹(宮城県立がんセンター 消化器科), 内海 潔(宮城県立がんセンター 消化器科), 野口 哲也(宮城県立がんセンター 消化器科), 鈴木 眞一(宮城県立がんセンター 消化器科), 小野寺 博義(宮城県立がんセンター 消化器科) |
抄録 | 【目的】80歳以上の高齢の悪性胆膵疾患に対する内視鏡治療,特に内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST),内視鏡的胆道ドレナージ術(EBD)の有用性と問題点を明らかにすること.【対象と方法】2006年1月~2013年7月までに当科でEBDを施行した悪性胆道狭窄例204例のうち,原疾患が悪性膵胆道疾患の163例を対象とした.内訳は肝門部胆管癌24例,胆管癌33例,乳頭部癌7例,胆嚢癌22例,膵癌77例であった.これらを80歳以上の高齢者群(53例)と80歳未満の非高齢者群(110例)の2群に分け,患者背景,入院日数,検査数,stent種類,開存期間,閉塞率,早期閉塞に関する危険因子,合併症について2群間でretrospectiveに比較検討をした.【結果】患者背景では,COPD,脳血管障害,認知症の有病率,PS3以上の割合および抗凝固剤内服率が高齢者群で有意に高かった.平均入院期間では両群に差がなかったものの,7日以内の短期入院および60日以上の長期入院の割合が高齢者群で有意に高かった.検査数は高齢者群で有意に少なかった.Tube stent(TS),Metalic stent(MS)の割合は高齢者群で71.7%,28.3%,非高齢者群で80.9%,19.1%と高齢者群でMSが多い傾向にあったものの有意差は認めなかった.閉塞率はTS,MSがそれぞれ高齢者群で37.8%,13.3%,非高齢者群で26.3%,11.1%と年齢別に差は認めなかった.しかし3回以上の閉塞の割合は高齢者群で有意に高かった.カプランマイヤー法による開存期間の検討ではTS,MSともに年齢別に差を認めなかった.ステント閉塞に影響する因子の検討では,多変量解析においてTSでは胆嚢炎の合併が,MSでは化学療法なしが閉塞の危険因子として選択され,年齢は関係がなかった.合併症では早期後期ともに有意な差はなかったが高齢者群でうつ病の発症,誤嚥性肺炎を認めた.【結論】高齢者ではその特殊な要因を考慮しなければならない場合はあるものの,非高齢者と同様に安全かつ効果的にEST,EBDを施行することができると考えられた. |
索引用語 | 高齢者, 内視鏡治療 |