セッション情報 一般演題

タイトル O-41:

高齢者穿孔性腹膜炎手術症例の検討

演者 高須 直樹(山形大学)
共同演者 鈴木 武文(山形大学), 佐藤 多(山形大学), 藤本 博人(山形大学), 矢野 充(山形大学), 村山 最二郎(山形大学), 蜂谷 修(山形大学), 平井 いちろう(山形大学), 木村 理(山形大学)
抄録 【はじめに】高齢者はすでに術前併存疾患を持っていることが多く、特に 緊急手術においては術後合併症がおこりやすい。その中でも穿孔性腹膜炎は緊急性が高く、大半は救命を主眼とした迅速な対応が求められる。 われわれは高齢者穿孔性腹膜炎手術症例について検討を行ったので報告する。【対象】1990年1月から2010年5月までの当科において経験した穿孔性腹膜炎手術症例127例を対象とした。医原性の疾患、術後早期の合併症に対する     手術症例は除外した。    【方法】75歳以上の高齢者群41例と75歳未満の非高齢者群86例の2群に分類し、術前併存疾患、術後合併症、術後管理、転帰について2群を比較検討した。          【結果】高齢者群の平均年齢は81.7歳、非高齢者群の平均年齢は59.7歳であった。男女比は高齢者群21:20、非高齢者群で62:24であった。また、穿孔部位を見ると、高齢者では大腸の穿孔が有意に多く認められた。 術前併存疾患保有率は高齢者で73.1%、非高齢者で50%と有意に高齢者群で高率であった。内訳では高血圧、心疾患が有意に高齢者で多く認められた。複数併存疾患を持っている群も高齢者で多く認められた。 術後合併発生率は高齢者で87.8%と非高齢者の61.6%と比較して有意に多く、複数の合併症が発症した症例も有意に多かった。内訳では呼吸器合併症,せん妄が有意に多く高齢者に認められた。術後管理では人工呼吸管理例が高齢者では有意差を持って多く認められた。在院死亡率は高齢者、若年者で差はなかったが、両群ともに呼吸器合併症を起こすと死亡率が高くなる傾向があった。【結語】高齢者では有意に術前併存疾患保有率、術後合併症発生率が高率であったが、在院死亡率には差が認められなかった。高齢者だけでなく若年者においても、呼吸器合併症が起こると予後不良であり、注意が必要と考えられた。
索引用語 腹膜炎, 高齢者