セッション情報 一般演題

タイトル O-25:

うつ病合併クローン病に対しtop downでInfliximabを導入した1例

演者 菊池 英純(青森県立中央病院 消化器内科DELIMITER弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座)
共同演者 高橋 一徳(青森県立中央病院 消化器内科DELIMITER弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座), 島谷 孝司(青森県立中央病院 消化器内科DELIMITER弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座), 伊藤 智子(青森県立中央病院 消化器内科), 金澤 浩介(青森県立中央病院 消化器内科), 沼尾 宏(青森県立中央病院 消化器内科), 棟方 正樹(青森県立中央病院 消化器内科), 福田 眞作(弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座)
抄録 【症例】31歳女性【家族歴】父:アルコール依存症、叔父:自殺【既往歴】うつ病:大学生時にリストカットなど自傷行為歴あり。希死念慮や自責的言動のため平成25年4月~5月に青森県立つくしが丘病院精神科閉鎖病棟に入院した。【現病歴】平成25年6月末より37-38度台の発熱、7月より下痢・血便が出現し、8月から下腹痛がみられ症状が徐々に悪化した。当初は自宅で様子を見ていたが改善しないため、8月8日に開業医を受診。8月15日に当科紹介となり同日入院した。造影CTでは上行結腸、横行結腸からS状結腸、直腸にそれぞれ浮腫性壁肥厚を認めた。下部消化管内視鏡検査では上行結腸、横行結腸、下行結腸~S状結腸に区域性の炎症があった。縦走傾向の潰瘍も認め、生検にてgranulomaを指摘された。上部消化管内視鏡検査や小腸造影では炎症所見を認めず、大腸型クローン病と診断した。社会的背景より早期の寛解導入を要すると判断し、top downでInfliximab(IFX)を導入したところ速やかに症状は改善した。IFX2回目の投与を行い9月5日に退院、現在外来通院中である。本症例は、クローン病を治療しながら精神状態も適切に把握する必要があり、精神科担当医と密接に連携をとりながら診療を進めている。【考察】近年、炎症性腸疾患(IBD)も精神疾患も増加傾向にある。精神病と確定診断されなくとも、IBD患者の中には精神的不安定を抱えている患者は多い。また腸炎増悪因子として心理的ストレスも挙げられ、IBDと精神症状は関連が深いとされてきた。抗TNFα製剤使用によってうつ病が好転するとの文献報告がある一方、自殺企図を発症した報告例もあり、精神状態に何らかの影響を与える可能性がある。今後も同様の背景をもつIBD患者は増えることが予想されるが、常に精神状態に対する配慮が必要である。
索引用語 クローン病, うつ病