セッション情報 特別企画 後期研修医(卒後3-6年迄)

タイトル O-42:

肝細胞癌との鑑別が困難であった大腸sm癌肝転移の一例

演者 山本 勝利(大崎市民病院 消化器科)
共同演者 尾花 伸哉(大崎市民病院 消化器科), 越後 紘治(大崎市民病院 消化器科), 石橋 嶺(大崎市民病院 消化器科), 高橋 靖(大崎市民病院 消化器科), 伊藤 博敬(大崎市民病院 消化器科), 佐藤 雄一郎(大崎市民病院 消化器科), 大矢内 幹(大崎市民病院 消化器科), 五十嵐 勇彦(大崎市民病院 消化器科), 坂元 和宏(大崎市民病院 病理部)
抄録 【症例】60歳代男性【現病歴】便潜血検査陽性で下部消化管内視鏡検査を施行したところ、下行結腸に表面不整で易出血性のびらんを伴う径15mm大Ipを認めた。内視鏡所見よりsm浸潤癌と診断したが、一括切除可能と判断し2012年10月にEMRを行った。病理組織検査の結果、組織型はadenocarcinoma(tub1>tub2)で、表面からの距離が3mmのSM浸潤(頭部浸潤)で、脈管侵襲、切離断端はいずれも陰性であった。根治された可能性もあるため、患者と協議の結果、追加手術はせず経過観察の方針となった。内視鏡治療前の検査でC型肝炎を認めたため、肝病変の評価目的で12月に腹部超音波検査を行ったが、肝硬変の所見を認めるのみで、腫瘤は認めなかった。2013年2月にdynamic MRIを行ったところ、肝S7に早期濃染・後期洗い出しを示す径17.2mmの腫瘤を認め、肝細胞癌が疑われたため、4月にRFAを施行した。7月に治療後経過観察目的で行ったdynamic CTで癌遺残を認めたため、8月肝S7部分切除+胆摘術を施行した。病理組織検査の結果、病変は中分化程度のadenocarcinomaで、免疫組織化学検査でCK7(-)/CK20(+), CDx-2(+)であったことから、大腸癌肝転移と診断した。CTなどで残存病変を認めなかったことから、追加外科手術は行わず化学療法のみ行う方針とし、10月よりmFOLFOX6を開始した。なお、大腸EMRで切除した検体を病理組織学的に再検討したところ、Grade2の簇出を認めた。【結語】EMRで切除した大腸sm癌が、病理組織検査の結果、Ip病変の頭部浸潤であり、脈管侵襲、切離断端は共に陰性であったことから、根治された可能性が高いと考え経過観察となったものの、その後出現した肝病変がC型肝硬変を背景とし画像所見上は肝細胞癌の特徴を備えていたため、鑑別が困難であった大腸sm癌肝転移の一例を経験した。本症例に対する診断治療について、文献的考察を含め報告する。
索引用語 大腸sm癌, 簇出