セッション情報 一般演題

タイトル O-37:

大腸腫瘍の再発に関与するメタボリックマーカー

演者 木村  聖路(国民健康保険三戸中央病院 内科)
共同演者 田中 正則(弘前市立病院 臨床検査科), 濱舘 貴徳(弘前大学消化器血液内科), 福田 真作(弘前大学消化器血液内科)
抄録 【目的】今回、大腸腺腫と粘膜内癌の内視鏡治療後のサーベイランスにおける再発率と町民検診データにおける各種メタボリックマーカーとの関連性を検討した。【方法】内視鏡治療した腺腫、粘膜内癌患者348例のサーベイランス期間(観察期間63.2月、検査回数3.4回)に5mm以上の腺腫または癌を再治療した再発群(A群)156例と再治療病変がなかった非再発群(B群)192例に分類し、さらに正常大腸群(C群)306例も併せて検討した。各群におけるBMI、飲酒率、喫煙率、平均血圧、総コレステロール、中性脂肪値、肝機能検査、空腹時血糖を統計学的に比較検討した。【成績】年齢性別はA群66.1歳、113:43、B群67.5歳、100:92、C群66.4 歳、181:125で年齢に差はないがA群の男性比が高かった(p<0.01)。BMIはA群24.5±3.2kg/m2、B群23.7±3.4kg/m2、C群23.5±3.0kg/m2であり、A群がB群,C群より高かった(p<0.05)。飲酒率はA群31.4%、B群18.8%、C群22.2%、喫煙率はA群23.7%、B群15.6%、C群14.7%で、両者ともA群はB群、C群より高率だった(p<0.05)。平均血圧はA群139.4/80.4mmHg、B群136.9/79.2mmHg、C群135.1/79.1mmHgで、収縮期のみA群がC群より高く(P<0.05)、B群とC群の差はなかった。総コレステロール値はA群203.7mg/dl、B群201.0mg/dl、C群200.8mg/dlとほぼ同様で、中性脂肪値はA群128.1mg/dl、B群122.0mg/dl、C群103.3mg/dlとA群B群ともC群より高く(p<0.005)、AB群間には差がなかった。AST、ALT、γGTPはA群27.5、27.1、59.7IU/L、B群27.2、25.2、41.6IU/L、C群25.5、23.6、34.3IU/Lであり、γGTPのみA群がB群,C群より高かった(p<0.005)。AST、ALTはAB群間に有意差がなかった。空腹時血糖はA群109.2mg/dl、B群105.6mg/dl、C群103.0mg/dlと、A群はC群より高いものの(p<0.01)、AB群間には有意差がなかった。【結論】初回治療後のサーベイランスで大腸腫瘍の再発をきたす群は、再発のない群と正常大腸群に比べて、飲酒率と喫煙率が高く、BMI高値、高TG血症、高γGTP血症を認めた。肥満と共にメタボリック症候群の諸因子も大腸腫瘍の再発に関与していた。
索引用語 大腸腺腫, 再発