セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | O-26:寛解期の潰瘍性大腸炎患者に発生した抗生剤起因性急性出血性腸炎の1例 |
演者 | 日下 順(東北大学病院 消化器内科) |
共同演者 | 遠藤 克哉(東北大学病院 消化器内科), 小野寺 基之(東北大学病院 消化器内科), 内藤 健夫(東北大学病院 消化器内科), 川上 瑤子(東北大学病院 消化器内科), 只野 敏浩(東北大学病院 消化器内科), 奈良 志博(東北大学病院 消化器内科), 平本 圭一郎(東北大学病院 消化器内科), 松下 勝則(東北大学病院 消化器内科), 宮澤 輝子(東北大学病院 消化器内科), 下平 陽介(東北大学病院 消化器内科), 黒羽 正剛(東北大学病院 消化器内科), 志賀 永嗣(東北大学病院 消化器内科), 角田 洋一(東北大学病院 消化器内科), 木内 喜孝(東北大学高等教育開発推進センター), 下瀬川 徹(東北大学病院 消化器内科) |
抄録 | 【症例】40歳、女性【主訴】血便【既往歴】38歳時~:潰瘍性大腸炎【現病歴】平成25年8月にクモ膜下出血で他院にて手術。術後約10日間、抗生剤(SBT/ABPC)が使用された。術後12日目頃より腹痛が出現し、その後、血便も認め、潰瘍性大腸炎で通院中の近医に紹介。CT上、右側結腸優位の著明な壁肥厚を認め、9月12日、当科紹介入院となった。【経過】入院時のCT検査では、上行結腸から横行結腸の著明な全周性の壁肥厚と、腹水も認めた。S状結腸内視鏡検査では、腸管内に新鮮血を多量に認めたが、粘膜はほぼ正常で、観察範囲内では潰瘍性大腸炎再燃の所見は認めなかった。当科受診時の血液検査では高度の炎症反応(WBC 31300/μl、CRP 19.3mg/dl)とDIC傾向もあり、絶食・蛋白分解酵素阻害剤による治療を開始した。また、CT所見から病原性大腸菌感染も疑われ、便培養提出の後、LVFX内服も開始した。入院時の便検査では、便中Clostridium difficil toxinは陰性だったが、便培養検査でKlebsiella oxytocaが検出された。CT上、深部結腸優位の炎症であり、周術期にペニシリン系抗生剤を投与したことを踏まえ、寛解期の潰瘍性大腸炎に発症した抗生剤起因性出血性腸炎と考えられた。その後、症状、データ共に改善し、第9病日より食事開始となった。その後も症状再燃なく、第16病日に退院となった。【考察】抗生剤起因性急性出血性腸炎の発症メカニズムは菌交代現象や、アレルギー反応、サイトカインの局所反応による組織傷害等が疑われているが、詳細は不明である。便培養でKlebsiella oxytocaが検出されることが多く、原因菌の一つである可能性も考えられている。ペニシリン系抗生剤処方頻度の減少により、出血性腸炎に遭遇する頻度も減少傾向にあると言われているが、本症例のように、重症化することもあり注意を要する。また、潰瘍性大腸炎患者に合併した場合は大腸内視鏡検査による潰瘍性大腸炎の増悪との鑑別が重要であると考えられた。 |
索引用語 | 急性出血性腸炎, 抗生剤 |