セッション情報 一般演題

タイトル O-38:

腸管ベーチェット病の術後吻合部潰瘍にインフリキシマブが有効であった1例

演者 半田 智之(独立行政法人 国立病院機構 仙台医療センター 総合診療科)
共同演者 高橋 広喜(独立行政法人 国立病院機構 仙台医療センター 総合診療科), 宍倉 かおり(独立行政法人 国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 杉村 美華子(独立行政法人 国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 岩渕 正広(独立行政法人 国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 真野 浩(独立行政法人 国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 鵜飼 克明(独立行政法人 国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 田所 慶一(独立行政法人 国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科)
抄録 【症例】43歳、男性【主訴】血便、嘔吐、心窩部痛【既往歴】昭和62年、前医にて回盲部潰瘍に対して回盲部切除術施行された。術後に腸管ベーチェット病と診断され、当科へ紹介となった。5ASA内服、在宅ED療法を施行していたが、吻合部潰瘍再燃により入院を繰り返し、PSL投与により寛解導入していた。平成16年に吻合部潰瘍からの大量出血によりショック状態となり、吻合部切除術を施行した。平成22年よりコルヒチン、6MPを追加投与していた。【現病歴】平成24年10月初旬に突然血便、嘔吐あり、その後心窩部痛が出現したため翌日救急外来を受診した。【検査所見】WBC 10000 /μl、Hb 11.6 g/dl、CRP 0.5mg/dl。造影CTにて結腸内の血液貯留、結腸小腸吻合部の炎症による壁肥厚が疑われた。明らかな血管外漏出像は認めなかった。【治療経過】絶食、PSL60mg/日による保存的治療を開始し一旦症状は軽快した。症状軽快後に施行したTCSでは吻合部の回腸側に大きな単発の打ち抜き様の潰瘍を認めた。その後PSLを漸減したところ再度血便あり、緊急TCSにて吻合部潰瘍の辺縁より漏出性出血を認めた。粘膜治癒に至らない難治性吻合部潰瘍に対し、再々手術も考慮したが、ご本人の承諾を得た後インフリキシマブ(IFX)を投与することとした。IFX投与後血便は消失し、投与後3週目のTCSでは潰瘍は治癒傾向を呈していた。その後PSLを漸減していき再出血なく経過した。IFXを0、2、6週に投与後退院し、その後8週毎のIFX維持投与を継続とした。IFX導入後33週目には潰瘍は瘢痕化した。【考察】IFXは2007年1月にベーチェット病における難治性網膜ぶどう膜炎に対して使用が認可され、最近は腸管ベーチェット病に対しても奏効例が報告されている。既存の治療に抵抗性の難治性腸管ベーチェット病であったがIFX導入し奏効した1例を経験したので文献的考察を加え報告する。
索引用語 ベーチェット病, インフリキシマブ