セッション情報 シンポジウム2「高齢者肝胆膵疾患に対する診療の工夫」

タイトル S2-07:

超高齢者胆管結石に対する経乳頭的内視鏡治療成績

演者 路川 陽介(仙台市医療センター 仙台オープン病院 消化器内科)
共同演者 洞口 淳(仙台市医療センター 仙台オープン病院 消化器内科), 野田 裕(仙台市医療センター 仙台オープン病院 消化器内科), 小林 剛(仙台市医療センター 仙台オープン病院 消化器内科), 伊藤 啓(仙台市医療センター 仙台オープン病院 消化器内科), 越田 真介(仙台市医療センター 仙台オープン病院 消化器内科), 菅野 良秀(仙台市医療センター 仙台オープン病院 消化器内科), 小川 貴央(仙台市医療センター 仙台オープン病院 消化器内科), 枡 かおり(仙台市医療センター 仙台オープン病院 消化器内科), 藤田 直孝(仙台市医療センター 仙台オープン病院 消化器内科)
抄録 【目的】超高齢者胆管結石患者に対する、内視鏡治療の安全性を検証すること。【対象】2000年1月から2013年5月まで、当センターでERCPを施行した胆管結石1369例中、85歳以上の超高齢者265例 (高齢者群) を対象とした (男女比91:174、平均年齢88.4±3.5歳)。同時期にERCPを行った65歳未満の胆管結石初回治療308例 (非高齢者群; 男女比178: 130、平均年齢53.5±9.8歳) を対照とし、1) 結石数、最大結石径、2) 初回及び最終完全截石率、3) 早期偶発症発生率につき検討した。当センターおける胆管結石の截石はESTを基本とし、可能な限り完全截石を目指しているが、EST不能例や全身状態不良例などでは内視鏡的胆道ステンティング (EBS) を付加している。【結果】1) 結石数は高齢者群で3.0±3.8個、非高齢者群で1.9±3.2個であったが、有意差はみられなかった。結石径は高齢者群で11.6±7.8mm、非高齢者群で7.1±4.9mmと高齢者群で有意に大きかった (P<0.001)。2) 初回治療での完全截石率は、高齢者群で49.4% (131/265)、非高齢者群で82.1% (253/308) と高齢者群で有意に低率であった (P<0.001)。最終的な完全截石率は高齢者群で87.5% (232/265)、非高齢者群で98.7% (304/308)で有意差はみられなかった。高齢者群で初回に完全截石できなかった症例の35%は大結石、多結石例で、残りの65%は、重症胆管炎に伴うDICや重篤な基礎疾患が背景に存在する全身不良例、および抗血栓薬内服例であった。高齢者群で最終的に完全截石が得られなかった33例は、EBSのまま経過観察となった。3) 早期偶発症は、高齢者群、非高齢者群でそれぞれ12.4% (33/265)、14.2% (44/308) に認め、両群間に差はみられなかった。高齢者における偶発症の内訳は、膵炎6.8% (18)、出血4.5% (12)、胆管炎1.1% (3) であった。いずれも軽症で保存的加療により改善し、治療に伴う死亡例は認めなかった。【結論】超高齢者の胆管結石に対する経乳頭的な内視鏡治療は、治療法を選別することにより、安全に施行可能であった。
索引用語 胆管結石, 超高齢者