セッション情報 シンポジウム2「高齢者肝胆膵疾患に対する診療の工夫」

タイトル S2-08:

当院における高齢者総胆管結石症例に対する内視鏡的乳頭ラージバルーン拡張術(EPLBD)導入後の現状

演者 三浦 雅人(みやぎ県南中核病院 消化器内科)
共同演者 阿曽沼 祥(みやぎ県南中核病院 消化器内科), 梅村 賢(みやぎ県南中核病院 消化器内科), 油井 理恵子(みやぎ県南中核病院 消化器内科), 玉川 空樹(みやぎ県南中核病院 消化器内科), 高橋 貴一(みやぎ県南中核病院 消化器内科), 洞口 愛(みやぎ県南中核病院 消化器内科), 飯岡 佳彦(みやぎ県南中核病院 消化器内科), 大沼 勝(みやぎ県南中核病院 消化器内科), 廣田 衛久(東北大学 消化器内科)
抄録 【目的】当院では2012年6月より総胆管結石治療にEPLBDを導入した。そこで、今回我々は現在までEPLBDを施行した症例のうち65歳以上の高齢者総胆管結石症例の現状について検討したので報告する【方法】2012年6月~2013年9月までの1年4か月の間に当院で65歳以上の症例にEPLBDを施行したのは40例(男性22例、女性18例)であった。年齢は66~94歳(平均81.6歳)で、結石数が3個以上の症例が17例(42.5%)を占めた。これらの症例の1)ERBD先行症例数、2)使用したラージバルーンのサイズ、3)明らかな遺残結石の有無、4)偶発症と施行時間について検討した。【成績】1)高齢者の場合、当院では急性胆管炎で緊急入院した場合や抗凝固剤を内服している場合には安全のためまずERBDを先に施行してその後EPLBDを施行しているが、そのような症例は13例(32.5%)であった。2)使用したラージバルーンのサイズは径10~18mmであり、13mm以下の症例が28例(70%)を占めた。3)明らかな遺残結石を認めたのは4例(10.0%)であり、いずれも最後にERBDチューブを留置して終了した。また、明らかな遺残結石は認めないものの遺残の可能性があった2例についてはENBDチューブを留置したが、その後の造影で遺残のないことを確認して抜去した。4)偶発症は1例(2.5%)に認め、出血に対する止血処置での胆管穿孔であったが、ENBDチューブ留置の上保存的治療を施行したところ軽快した。また施行時間は20~67分(平均35.3分)であったが、偶発症を発生した1例の67分を除くといずれも60分以内に終了していた。【まとめ】当院では以前より高齢者にERCPを施行する際には安全のため施行時間が60分以内になるように心掛けてきた。今回高齢者総胆管結石症例にEPLBDを施行したが、ほとんどの症例で60分以内に施行することができ、偶発症も少なく安全に施行することができた。また、遺残結石も少なく、今後高齢者総胆管結石に対する有効な治療法になると考えられたが、安全性の確立のためにはさらに症例を積み重ねて適応・手技について検討していく必要がある。
索引用語 内視鏡的乳頭ラージバルーン拡張術, 高齢者