セッション情報 | 特別企画 初期研修医(卒後2年迄) |
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タイトル | O-31:餅イレウスの1例 |
演者 | 阿部 武士(独立行政法人国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科 ) |
共同演者 | 鵜飼 克明(独立行政法人国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科 ), 野口 謙治(独立行政法人国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科 ), 阿子島 裕倫(独立行政法人国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科 ), 菊池 弘樹(独立行政法人国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科 ), 阿部 泰明(独立行政法人国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科 ), 三浦 裕子(独立行政法人国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科 ), 藤谷 拓(独立行政法人国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科 ), 梅津 輝行(独立行政法人国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科 ), 吉田 はるか(独立行政法人国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科 ), 杉村 美華子(独立行政法人国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科 ), 田邊 暢一(独立行政法人国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科 ), 木村 憲治(独立行政法人国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科 ), 岩渕 正広(独立行政法人国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科 ), 真野 浩(独立行政法人国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科 ), 田所 慶一(独立行政法人国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科 ) |
抄録 | 【症例】64歳、男性【主訴】腹痛、悪心【既往歴】10代の頃、腸閉塞にて開腹手術。62歳頃に尿管結石【現病歴】平成25年10月X日、朝5時頃から臍周囲の違和感が出現。朝食摂取後、違和感は間歇的な鈍痛に変化した。腹痛は次第に腹部全体へと広がり、11時頃には冷汗が出現。13時頃、痛みは耐え難くなり当院救急外来を受診。【入院時現症】体温36.2℃、血圧145/90mmHg、心拍数68bpm、SpO2 98%。痛みのため右側臥位でうずくまっていた。腹部所見:腹部はやや膨隆し、腸蠕動音は低下。心窩部および左上腹部で鼓音を認め、左上腹部に最強点を有する圧痛を認めた。筋性防御、反跳痛は認めなかった。【初診時検査成績】血液検査:白血球10600/μl、CRP 0.1mg/dl未満。腹部単純X線:左上腹部に拡張した小腸ガス像を認めた。造影CT:回盲部に長径3cm弱のhigh densityな構造物を認め、口側小腸の拡張及び二ボー像を認めた。同様の構造物を拡張した腸管内に数個認めた。【経過】CT所見から食餌性イレウスを疑い、改めて食事歴を聴取したところ前日22:30頃に固めの納豆餅を3個摂取していた。以上より餅イレウスと診断した。治療は、消化による自然な閉塞機転の解除を期待して保存的治療とした。経鼻胃管を挿入し、疼痛に対してペンタゾシン、ブチルスコポラミンを投与した。しかし同日夜より間欠的腹痛と嘔吐を認めたため緊急でイレウスチューブの挿入を試みたが、処置中に症状軽快したため断念した。入院翌日の造影CTでは、前日に小腸内に認められたhigh densityな構造物は上行結腸へ移動し、小腸の拡張も軽減していた。第4病日から食事摂取を開始し、その後は経過良好で第10病日に退院となった。【考察】食餌性イレウスはイレウス全体の0.3~3%とされる。最も多いのが柿で、その他昆布、果実、餅などである。餅は単純X線では陰性で、一方CTではhigh densityとなり、この特徴的所見を知っていれば餅イレウスの診断は容易である。治療は保存的治療が第一選択だが、食塊の移動性が悪く手術となった症例も多数報告されている。穿孔性腹膜炎を引き起こす可能性もあり、早期診断と症状に合わせた適切な治療法が必要である。 |
索引用語 | 餅イレウス, CT |