セッション情報 特別企画 初期研修医(卒後2年迄)

タイトル W1-04:

HCV持続感染・HBV既感染例に発症した巨大脾腫併存辺縁帯B細胞性リンパ腫の1例

演者 島田 佐登志(みやぎ県南中核病院 消化器内科)
共同演者 梅村 賢(みやぎ県南中核病院 消化器内科), 三浦 雅人(みやぎ県南中核病院 消化器内科), 高橋 貴一(みやぎ県南中核病院 消化器内科), 玉川 空樹(みやぎ県南中核病院 消化器内科), 油井 理恵子(みやぎ県南中核病院 消化器内科), 洞口 愛(みやぎ県南中核病院 消化器内科), 阿曽沼 祥(みやぎ県南中核病院 消化器内科), 飯岡 佳彦(みやぎ県南中核病院 消化器内科), 大沼 勝(みやぎ県南中核病院 消化器内科), 工藤 千枝子(みやぎ県南中核病院 腫瘍内科), 二井谷 友公(みやぎ県南中核病院 腫瘍内科), 杉山 克郎(みやぎ県南中核病院 腫瘍内科), 前田 晋平(みやぎ県南中核病院 外科), 赤田 昌紀(みやぎ県南中核病院 外科), 上野 達也(みやぎ県南中核病院 外科), 佐藤 俊(みやぎ県南中核病院 外科), 後藤 慎二(みやぎ県南中核病院 外科), 高橋 道長(みやぎ県南中核病院 外科), 内藤 広郎(みやぎ県南中核病院 外科)
抄録 【症例】56歳女性。【主訴】腹部膨満感。【既往歴】手術歴・輸血歴なし。【現病歴】2013年3月より腹部膨満感出現。症状改善せず同年8月当科受診。診察にて頚部と腋窩に腫大したリンパ節を触知し膨隆した腹部正中部から左側腹部に38×17×18cm大の弾性硬腫瘤を触知したため精査加療目的に入院となった。【入院時検査成績】WBC4400/μl, RBC311万/μl, Hb7.6g/dl, Plt7.1万/μl, T-Bil0.67mg/dl, AST30U/l, ALT15U/l, ALP330U/l, γ-GTP25U/l, LDH387U/l, TP7.14g/dl, Alb3.64g/dl, Ch-E257U/l, CRP0.76 mg/dl, IL2-R6380U/ml, CEA1.6ng/dl, CA19-9 3.7U/ml, AFP6.0ng/ml, HCV抗体14.89S/CO, HCVRNA6.4LogIU/ml, HBs抗原0.05未満IU/ml, HBs抗体79.47mIU/ml, HBc抗体3.81S/CO, HBVDNA未検出。【造影CT検査所見】頚部リンパ節腫大と巨大脾腫を認めた。【入院後経過】リンパ節生検による病理組織学的所見は悪性リンパ腫を疑う所見であった。多角的解析(READ system)を依頼したところフローサイトメトリーはCD19,CD20,CD22,CD45陽性,免疫組織化学的検討はCD5,CD10陰性,CD20,CD22,CD45,CD79α,bcl-2陽性で最終診断は辺縁帯B細胞性リンパ腫であった。脾臓破裂や腫瘍崩壊症候群のリスクを考慮し脾動脈塞栓術+脾臓摘出術を施行した。 摘出された脾臓の重量は4100gであった。【考察】本症例は巨大脾腫を併存した辺縁帯B細胞性悪性リンパ腫であり脾濾胞辺縁帯リンパ腫と考えられた。脾濾胞辺縁帯リンパ腫はリンパ節腫大や節外病変は一般的ではなく脾臓,脾門部リンパ節,骨髄に発生し巨大脾腫の原因となりうる。本疾患は緩徐に慢性経過し経過観察となることも多いが本症例のように巨大脾腫に関連した症状を認める症例は外科手術適応となりうる。本疾患の薬物療法はリツキシマブ投薬を施行するが本症例のようなHBV既感染例にはde novo B型肝炎発症リスクに留意する必要がある。また,本疾患はHCVとの関連が指摘されておりHCV駆除により本疾患が改善した報告があることから本症例においてもHCV駆除を先行させる治療が選択肢のひとつとなりうると考えられた。
索引用語 HCV持続感染, 辺縁帯B細胞性リンパ腫