セッション情報 一般演題

タイトル O-27:

生物学的製剤が効果減弱し入院加療を要したクローン病の治療経過と予後に関する検討

演者 只野 敏浩(東北大学病院 消化器内科)
共同演者 遠藤 克哉(東北大学病院 消化器内科), 内藤 健夫(東北大学病院 消化器内科), 日下 順(東北大学病院 消化器内科), 小野寺 基之(東北大学病院 消化器内科), 川上 瑶子(東北大学病院 消化器内科), 松下 勝則(東北大学病院 消化器内科), 宮澤 輝子(東北大学病院 消化器内科), 平本 圭一郎(東北大学病院 消化器内科), 下平 陽介(東北大学病院 消化器内科), 黒羽 正剛(東北大学病院 消化器内科), 志賀 永嗣(東北大学病院 消化器内科), 角田 洋一(東北大学病院 消化器内科), 木内 喜孝(東北大学高等教育開発推進センター), 下瀬川 徹(東北大学病院 消化器内科)
抄録 【背景】Infliximab(IFX)やAdalimumab(ADA)等の生物学的製剤(Biologics;Bio)の効果が減弱したクローン病(CD)は治療に難渋することが多い。今回Bio効果減弱し入院治療を行った難治性CDの治療経過を解析し、退院後の予後について検討した。【方法】2011年1月~当科でBio効果減弱にて入院加療を要したCD49例を対象とし、臨床背景、入院治療内容と転機、退院後治療内容、退院後の予後を後ろ向きに検討した。【結果】全49症例中、IFX単独効果減弱は32例(65.3%)、ADA単独効果減弱は5例(10.2%)、IFX・ADA両者効果減弱は12例(24.5%)であった。入院後は35例 (71.4%)で中心静脈栄養療法、13例(26.5%)で成分栄養療法が行われた。腸管精査の結果、17例(34.7%)に手術適応病変が発見され、外科的寛解導入(手術)を行った。手術適応のない32例は栄養療法中心とし、免疫調節剤の追加、IFX増量、Bioのスイッチ(IFX⇔ADA)、タクロリムス投与等が行われた。全49例中、内科的寛解導入ののち退院が31例、外科手的寛解導入ののち退院が17例、死亡が1例(クローン病関連死)であった。退院後のBio継続率は、IFX or ADA単独効果減弱例で97.3%に対し、両者効果減弱例で54.5%であった。外科的寛解導入を行った症例は内科的寛解導入のみの症例に比べ有意に累積非再燃率は低かった(Log-rank test :p<0.05)。【考察】Bio効果減弱例では手術適応病変の有無を検索することが必須である。Bio効果外減弱症例といえども、外科的寛解導入後の予後は比較的良好であった。手術適応がない場合は内科的に寛解導入を図る。入院の場合、当科では栄養療法を中心に据えて確実に寛解に導き、その上で免疫調節剤の追加、Bioの増量・スイッチ等を行う。退院後は可能ならばBio中心に寛解維持を試みることが多いが予後良好とは言い難い。Bio効果減弱をレスキューできる薬剤の登場に期待したい。
索引用語 クローン病, 生物学的製剤