セッション情報 特別企画 初期研修医(卒後2年迄)

タイトル O-45:

原発性結核性腹膜炎と考えられた1例

演者 岡 佑香(福島赤十字病院 内科・消化器科)
共同演者 斎藤 広信(福島赤十字病院 内科・消化器科), 高住 美香(福島赤十字病院 内科・消化器科), 黒田 聖仁(福島赤十字病院 内科・消化器科), 寺島 久美子(福島赤十字病院 内科・消化器科), 宮田 昌之(福島赤十字病院 内科・消化器科)
抄録 【症例】49歳、女性【主訴】腹部膨満感【既往歴】肺結核の既往なし【家族歴】特記事項なし【現病歴】2013年7月より腹部膨満感、食欲低下を認めたが様子をみていた。体重が1カ月で2kg減少し、心配になり同年8月26日に近医で受診した。腹部超音波検査で腹水を指摘され、精査加療目的に当科に紹介され8月27日に初診となった。【現症】体温 36.7℃、血圧 112/7mmHg、脈拍 68/分、身長 150cm、体重 43kg、腹部膨満あり、圧痛なし。【経過】血液検査では、白血球 4800/μL、Hb 13.4g/dl、血小板 36.6万/μL、AST 17IU/L、ALT 6IU/L、CEA 4.9ng/ml、CA19-9 <2.0U/ml、CA125 414.9U/ml。胸部~骨盤造影CTでは肺野に異常なく、腹水を広範に認めたが、明らかな腫瘍性病変は認めなかった。上部消化管内視鏡検査では異常なく、下部消化管内視鏡検査で回盲弁の開大を認め、上行結腸には潰瘍瘢痕、肝弯部には潰瘍性病変を認めた。潰瘍瘢痕部および潰瘍性病変の生検では炎症細胞浸潤は認めるが特異的所見はなく、Ziehl-Neelsen染色でも結核菌は陰性であった。便培養検査でも結核菌PCR陰性。腹水穿刺による腹水細胞診では悪性所見なく、腹水中結核菌PCR陰性、腹水中ADA 86.4IU/Lと高値であった。結核菌特異的IFN-γ検査では陽性であった。便培養、腹水培養、大腸生検検体からの結核菌の検出は確認できなかったが、CS所見および腹水中ADA高値、結核菌特異的IFN-γ陽性から結核性腹膜炎と考えられた。治療としてINH・RFP・EBによる3剤併用を開始したところ、腹水の減少を認め、現在も副作用なく内服継続中である。【考察】結核に対する治療の進歩により結核性腹膜炎は全結核患者の0.04~0.5%にみられる稀な疾患となった。結核性腹膜炎は特異的な臨床徴候や所見に乏しいため、診断が困難な場合があるとされている。また半数に肺病変を有しない症例があると言われており、実際の臨床で遭遇した場合に診断や治療開始が遅れる傾向にあると思われる。今回腹部膨満感を主訴に来院し、腹水貯留を認め精査の結果、結核性腹膜炎と考えられた1例を経験した。若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 結核性腹膜炎, 診断