セッション情報 特別企画 初期研修医(卒後2年迄)

タイトル W1-06:

類上皮型肝血管筋脂肪腫の一例

演者 小張 祐介(石巻赤十字病院 消化器内科)
共同演者 赤羽 武弘(石巻赤十字病院 消化器内科), 洪 雄貴(石巻赤十字病院 消化器内科), 加納 隆輔(石巻赤十字病院 消化器内科), 山本 康央(石巻赤十字病院 消化器内科), 松浦 真樹(石巻赤十字病院 消化器内科), 海野 純(石巻赤十字病院 消化器内科), 蒲 比呂子(石巻赤十字病院 消化器内科), 富永 現(石巻赤十字病院 消化器内科), 朝倉 徹(石巻赤十字病院 消化器内科), 高橋 徹(石巻赤十字病院 病理部)
抄録 【症例】40歳女性【既往歴】H23年子宮筋腫及び両側卵巣のう腫手術。その後子宮内膜症に対して内服治療。【現病歴】H25年8月右側腹部痛が出現し近医受診。エコーで肝に腫瘤を指摘され登米市民病院紹介となり、同院のCTで肝細胞癌が疑われ8月30日当科紹介となる。【採血所見】肝機能正常。HBsAg(-),HBcAb(-),HCVAb(-),AFP 3.5ng/ml, PIVKA-II 15mAU/ml, CEA 2.8ng/ml, CA19-9 0.6U/ml【エコー所見】肝S5~6に、40x30mm大の分葉状の、辺縁が高エコー・内部は等エコーの腫瘤を認め、Dopplerでは内部に豊富な血流を認めた。ソナゾイド造影エコーでは血管相で腫瘤は均一に強く濃染し、その後右肝静脈への排血路が認められた。Kupffer相では造影欠損を呈した。【CT所見】S5~6の腫瘤は動脈相で均一に濃染し、平衡相でWash outされたが、Wash outは弱く一部造影の遷延が認められた。腫瘤に被膜形成は認められなかった【MRI所見】腫瘤はT1WIで低信号、T2WIで高信号を示し、T1WIのin phaseとout of phaseで信号強度の変化がないことから脂肪成分に乏しい腫瘤と判断した。EOB造影の肝細胞相では明瞭な低信号を示した。【血管造影所見】腫瘤はA5A6枝から栄養されており、MainのFeederであるA5枝は拡張していた。明瞭な腫瘍濃染像に引き続き周囲肝への濃染のしみだしを認め、その後右肝静脈への還流が淡く認められた。Single level dynamic CTHAでも同様の周囲肝への造影剤のしみだしを認めた。CTAPでは腫瘤に一致して明瞭な欠損像を認めた。ソナゾイドエコーKupffer相の所見・EOB-MRI肝細胞相の所見から肝限局性結節性過形成は否定され、背景肝が正常であること・流出静脈が肝静脈であることから肝細胞癌の可能性も低いと考えた。脂肪成分に乏しい類上皮型の肝血管筋脂肪腫、肝細胞腺腫などが疑われたが確定診断にはいたらず肝腫瘍生検を施行した。【組織所見】Clear cytoplasmを有する類上皮様細胞が索状に増殖し、免疫染色でHepar-1(-),HMB-45(+),α-SMA(+)で肝血管筋脂肪腫と診断された。【考案】脂肪成分に乏しい肝血管筋脂肪腫の診断は難しいとされているが過去の報告と本症を照らしあわせ考案する。
索引用語 肝腫瘍, 多血性