セッション情報 | シンポジウム1「高齢者消化管癌診療の適正化と工夫」 |
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タイトル | S1-04:当院における高齢者早期胃癌に対するESDの現状と全身合併症対策 |
演者 | 川越 圭(山形県立中央病院 消化器内科) |
共同演者 | 小野里 祐介(山形県立中央病院 消化器内科), 今 孝志(山形県立中央病院 消化器内科), 原 倫代(山形県立中央病院 消化器内科), 佐藤 英之(山形県立中央病院 消化器内科), 藤嶋 昌一郎(山形県立中央病院 消化器内科), 白幡 名香雄(山形県立中央病院 消化器内科), 鈴木 克典(山形県立中央病院 消化器内科), 武田 弘明(山形県立中央病院 消化器内科), 深瀬 和利(山形県立中央病院 消化器内科) |
抄録 | 【背景と目的】高齢化社会の到来に伴い、胃ESDにおける高齢者の比率は確実に増加している。高齢者に対する胃ESDは、基礎疾患等の背景から、合併症を起こすと重篤化する可能性が高い。そこで今回、当院における高齢者に対する胃ESDの現状と全身合併症対策について検討した。【対象と方法】2008年4月から2013年3月の5年間に当院で胃ESDを施行した75歳以上の高齢者は198例223病変。それらを85歳以上の超高齢者群18例19病変(85-93歳、中央値86歳)、75歳から84歳までの後期高齢者群180例204病変(75-84歳、中央値79歳)の2群に分け比較検討を行った。検討項目は、患者背景{性別、Performance status(PS)、基礎疾患(虚血性心疾患、肝硬変、脳血管障害等)の有無、抗血栓療法の有無等)}、病変因子(占拠部位、サイズ、ESDの適応等)、ESDの安全性(施術時間、術中合併症、術後合併症、術後在院日数等)等に関して検討した。当院でのESD施行中の全身合併症対策としては、誤嚥性肺炎の予防としてOver tubeの使用と適宜口腔内吸引を繰り返し、無気肺、褥瘡及び静脈血栓塞栓症の予防として体位変換と身体保護固定マットの使用と、下肢に間欠型空気圧式マッサージ器の着用を行っている。穿孔時の重症化予防として全例でCO2送気システムを使用している。【結果】性別やPS、基礎疾患の有無、抗血栓薬内服の有無等の患者背景に関しては両群間で有意差は認めなかった。病変因子に関しても、両群間で有意差は認めなかった。ESDの施術時間、術中合併症の発生頻度、術後在院日数にも有意差は認めなかった。術後合併症の発生頻度に関しては、超高齢者群では発症率22.2%(肺炎3例、譫妄1例)で、後期高齢者群の1.7%(肺炎3例)と比較して有意に高かった(p<0.001)。【結論】当院の高齢者に対する胃ESDでは、超高齢者でも安全に施行することができたが、術後合併症に対する予防策の検討が必要と考えられた。 |
索引用語 | ESD, 高齢者 |