セッション情報 一般演題

タイトル O-59:

嚢胞形成を認め,脾静脈腫瘍栓を伴った膵腺房細胞癌の一例

演者 西条 勇哉(仙台厚生病院 消化器内科)
共同演者 奥薗 徹(仙台厚生病院 消化器内科), 宮下 祐介(仙台厚生病院 消化器内科), 佐藤 俊(仙台厚生病院 消化器内科), 高林 広明(仙台厚生病院 消化器内科), 三宅 直人(仙台厚生病院 消化器内科), 三島 利之(仙台厚生病院 消化器内科), 松田 知己(仙台厚生病院 消化器内科), 石橋 潤一(仙台厚生病院 消化器内科), 中堀 昌人(仙台厚生病院 消化器内科), 山内 淳一郎(仙台厚生病院 消化器外科), 千場 良司(仙台厚生病院 病理診断 臨床検査科), 長南 明道(仙台厚生病院 消化器内科)
抄録 症例は71歳男性.スクリーニング目的の腹部超音波検査にて膵尾部に嚢胞性病変を指摘され2012年10月に当科紹介となった.造影CT上膵体尾部に径50mm大の多房性の嚢胞性病変,及び嚢胞内部に造影効果を伴う20mm大の結節性病変を認め,その一部は脾静脈への進展が疑われた.造影超音波検査でも同様の所見であった.MRIでは多房性の嚢胞がそれぞれ異なる信号強度を認めた.本人の都合で2ヵ月後に精査入院となったが,その際に再検したCTでは脾静脈内腫瘍栓が更に門脈本幹へ進展していた。胃全摘術,Roux-en Y再建後腸管であるためダブルバルーン内視鏡補助下にERPを施行したが,主膵管の拡張所見及び嚢胞との交通は認めなかった.鑑別疾患としてp-NET,腺房細胞癌,分枝型IPMNなどを疑ったが確定診断はつかず,2013年1月に膵体尾部切除を施行.門脈腫瘍栓は脾静脈断端より腫瘍本体と一括に摘出可能であった。組織学的には乳頭結節状,及び櫛状腺管の形成を示す異型細胞の集簇を認め,cholesterinの沈着を伴う内容液を入れた二次的嚢胞性変化を伴っていた.免疫染色ではtrypsin(+),CA19-9(-),synaptophysin(-)にてAciner cell carcinomaの診断に至った.本症例では、嚢胞内の一部に充実部分が混在し、これが嚢胞外に進展して高度の脾静脈腫瘍栓を形成していた。本疾患では門脈腫瘍栓が比較的高頻度に見られることが特徴であり、鑑別疾患の一つに挙がったが、嚢胞形成を伴った非典型的画像であり、術前診断が困難であった。文献的には、本疾患でも嚢胞形成を伴う症例が散見されており、嚢胞性膵腫瘍を見た場合には、本疾患も念頭に置く必要がある。
索引用語 膵腺房細胞癌, 囊胞形成