セッション情報 一般演題

タイトル O-53:

膵原発と考えられた悪性リンパ腫の1例

演者 藤谷 拓(独立行政法人国立病院機構 仙台医療センター )
共同演者 木村 憲治(独立行政法人国立病院機構 仙台医療センター ), 阿部 泰明(独立行政法人国立病院機構 仙台医療センター ), 梅津 輝行(独立行政法人国立病院機構 仙台医療センター ), 杉村 美華子(独立行政法人国立病院機構 仙台医療センター ), 岩渕 正広(独立行政法人国立病院機構 仙台医療センター ), 鵜飼 克明(独立行政法人国立病院機構 仙台医療センター ), 田所 慶一(独立行政法人国立病院機構 仙台医療センター ), 鈴木 博義(独立行政法人国立病院機構 仙台医療センター )
抄録 【症例】82歳女性【主訴】背部痛【現病歴】H25年7月中旬より背部痛が出現し、症状が悪化したため、近医受診した。採血にて膵酵素の上昇と、腹部超音波で膵腫大を指摘され、当院紹介受診となった。腹部CT上、膵頭部を中心とした巨大な腫瘤の他に脾にも腫瘤が認められたため精査目的に当科入院となった。【画像所見】腹部MRIでは辺縁優位に造影増強効果が認められ、T2WIは膵実質と等信号を呈した。MRCPでは腫瘤により下部胆管および膵頭部の主膵管は高度に狭窄しており、尾側膵管、総胆管の著明な拡張を認めた。EUSでは膵頭部を中心に約10cm大の低エコー腫瘤を認め、多結節状に描出される部分も認められた。閉塞性黄疸が認められたため、膵管ステントおよび胆管ステントを留置した。十二指腸球部後壁に腫瘤による外圧排が認められ、確定診断のためにEUS-FNABが施行された。【組織病理所見】採取された組織の中には異型のない膵管由来と考えられる円柱上皮と、腺房由来の好酸性の胞体を持つ細胞の間に多数の異型リンパ球が認められ、CD20・CD79a(+)のB細胞性悪性リンパ腫の診断となった。【考察】節外性悪性リンパ腫は腹部領域では消化管、特に胃に多く見られ、膵に発生するものは節外性悪性リンパ腫の0.6~2.2%と非常に稀である。悪性リンパ腫は進行した状態では膵に直接浸潤または転移することもあるため、膵原発であっても、他の腹腔内臓器原発の悪性リンパ腫の膵へ波及した状態と判別するのは困難である。本症例においても腹腔内リンパ節が原発臓器である可能性は否定できないが、膵頭部を中心として周囲に発育して見えること、生検で腫瘍内に残存する正常膵組織が確認できたことなどから膵原発と推定した。本症例では胆道系や主膵管が高度に狭窄しており退形成性膵癌との鑑別に苦慮したが、EUS-FNABが診断に有用だった。【結語】EUS-FNABにより診断し得た、膵原発と考えられる悪性リンパ腫の1例を経験した。
索引用語 EUS-FNAB, 悪性リンパ腫