セッション情報 一般演題

タイトル O-18:

健診で発見されたMacro AST血症の1例

演者 遠藤 啓(岩手医科大学 内科学講座 消化器肝臓内科分野)
共同演者 及川 寛太(岩手医科大学 内科学講座 消化器肝臓内科分野), 柿坂 啓介(岩手医科大学 内科学講座 消化器肝臓内科分野), 滝川  康裕(岩手医科大学 内科学講座 消化器肝臓内科分野)
抄録 【症例】62歳女性【主訴】高AST血症の精査【既往】34歳帝王切開、61歳大腸癌 手術【家族歴】特記事項なし【生活歴】飲酒なし、喫煙なし【現病歴】自覚症状はなかったが2008年に健診で高AST血症(AST 69IU/L、ALT 16IU/L)を指摘され近医に通院。2012年5月AST 131IU/L、ALT 15IU/Lと改善なく、2012年7月精査目的に当科紹介となった。2010年からグルコサミンを内服していた。それ以外は薬物、健康食品なし【初診時現症】身長 148cm、体重 57kg、BMI 26.0、眼球結膜黄染なし、身体所見に異常なし【血液検査所見】WBC 4390/μL、Hb 13.8g/dL、Plt 27×104/μL、TP 7.9g/dL、Alb 4.4g/dL、T-Bil 0.9mg/dL、D-Bil 0.2IU/L、AST 151IU/L、ALT 21IU/L、LDH 193IU/L、ALP 234IU/L、GGTP 16IU/L、CK 92IU/L、TC 248mg/dL、TG 125mg/dL、空腹時血糖 105mg/dL、HbA1c(NGSP) 5.6%、PT 85%、IgG 1920mg/dL、IgA 204mg/dL、IgM 69mg/dL、ANA 40倍未満、AMA 陰性、肝炎ウィルス全て陰性【腹部CT】肝実質は全体にX線吸収低下。画像上脂肪肝を認めたがアルコール歴のないAST単独の上昇であり、脂肪肝による肝酵素上昇としては非典型的であった。溶血性疾患や筋疾患は認めなかった。グルコサミンを中止してもASTの改善なく、DLSTも陰性であった。酵素結合免疫グロブリンを調べたところ、IgA-κ型AST結合免疫グロブリンの存在を認めMacro AST血症と診断した。その後、脂肪肝の診断のため肝生検を行い、Matteoni分類type1、単純性脂肪肝と診断した。壊死・炎症所見は認めなかった。現在食事・運動療法で経過観察中である。【考察】1964年にWildingらがマクロアミラーゼ血症を報告して以来、LDHやALPなど数多くの免疫グロブリン結合型酵素の報告がなされている。AST結合型免疫グロブリンについては比較的まれである。ALT上昇を伴わないAST上昇ではmacro ASTの鑑別が必要である。
索引用語 Macro AST血症, 酵素結合免疫グロブリン