セッション情報 特別企画 初期研修医(卒後2年迄)

タイトル W1-07:

緩徐に増大したと考えられる巨大胃GISTの一例

演者 枡 悠太郎(山形市立病院済生館 消化器内科)
共同演者 黒木 実智雄(山形市立病院済生館 消化器内科), 善如寺 暖(山形市立病院済生館 消化器内科), 沖田 啓(山形市立病院済生館 消化器内科), 須貝 彩子(山形市立病院済生館 消化器内科), 名木野 匡(山形市立病院済生館 消化器内科), 三浦 敦司(山形市立病院済生館 消化器内科), 平川 秀紀(山形市立病院済生館 消化器内科)
抄録 【症例】60歳代、女性【主訴】自覚症状なし【既往歴・家族歴】特記事項なし【現病歴】健診にて左側腹部の腫瘤を指摘され当科を受診した。【現症】左側腹部に腫瘤を触知。腫瘤は軟らかく、腹部に圧痛は認めず。【検査所見】CEA 2.1ng/ml、CA19-9 4.1U/ml、sIL-2R 91U/mlと腫瘍マーカーの上昇なく、カテコラミン3分画も正常。その他、血液生化学検査で異常なし。【画像所見】腹部造影CTでは腹腔内の胃背側・膵腹側から尾側に充実性の巨大な腫瘤病変が存在。病変は左胃動脈により栄養されており、後期相では左胃静脈への還流を認めた。MRIではT1W1で内部はほぼ不均一な低信号、T2W1では内部に細かい点状ないし割れ目状の高信号が存在。DWIでは軽度高信号を呈する。腫瘤の辺縁は平滑明瞭で、周辺臓器への明らかな浸潤は認めなかった。上部消化管内視鏡検査では異常認めず。大腸内視鏡検査では横行結腸で軽度の圧排所見を認めた。以上より管外発育型の胃GISTが考えられ手術の方針となった。【手術所見】腫瘍は弾性軟、被膜に覆われ周囲との癒着は認めなかった。腫瘍は胃の小弯背側と連続しており、付着部位周囲の胃壁を十分なマージンをとって全層切除で摘出した。【病理組織所見】摘出標本のサイズは185×135×83mm。割面は淡褐色分葉状充実性。HE染色にて短紡錘核で線維性胞体の錯綜を認めた。免疫染色ではCD34陽性、c-kit陽性でありGISTと診断。核分裂像は2/50HPであり、Flercher分類で高リスク、Miettinen分類でmoderateに該当した。【術後経過】経過良好で術後7日目に退院。術後補助化学療法として外来にてimatinib400mg/day開始した。【考察】一般にGISTは腫瘍径が大きくなるにつれ、出血や壊死を伴うことが多いとされている。本症例は巨大な腫瘍であるにも関わらず、自覚症状が全くなく、出血や壊死による嚢胞変化を伴わない稀な症例であり、緩徐に増大したことがその原因と推測される。本症例について若干の文献的考察を含めて報告する。
索引用語 GIST, imatinib