共同演者 |
櫻庭 裕丈(弘前大学医学部附属病院 消化器血液膠原病内科), 飯野 勢(弘前市立病院 内科DELIMITER弘前大学医学部附属病院 消化器血液膠原病内科), 相原 智之(弘前市立病院 内科), 平賀 寛人(弘前大学医学部附属病院 消化器血液膠原病内科), 山形 亮(弘前市立病院 内科), 坂本 十一(弘前市立病院 内科), 東野 博(弘前市立病院 内科), 福田 眞作(弘前大学医学部附属病院 消化器血液膠原病内科) |
抄録 |
【症例】38歳女性. 既往歴;特記事項なし. 家族歴;皮膚筋炎(妹), 関節リウマチ(祖母).【主訴】皮疹, 関節痛, 発熱, 心窩部痛 【現病歴】咽頭痛に続く下腿伸側の紅斑と関節痛を主訴に受診.感染症に伴う関節痛と中毒疹として対症療法にて経過観察中の第7病日に心窩部の疝痛発作が出現.上部消化管内視鏡検査で十二指腸下行脚に浮腫を伴う発赤, びらんを認め, CTで回腸末端に浮腫状粘膜肥厚を認めた.症状, 画像所見よりShonlein-Henoch紫斑病(HSP)が疑われた.【経過】皮膚生検施行,病理組織学的に白血球破砕性血管炎を認め,臨床所見と合わせてHSPと診断.扁桃腫大とASK高値あり,咽頭痛もあったことから扁桃腺炎の先行を考慮し抗菌薬投与.ステロイドの投与なく2週程で症状は軽快に向かった.【考察】HSPは, 毛細血管~細動脈の血管炎に起因し, 皮膚・腹部・関節症状と腎障害を主な兆候とする疾患である. 腹部症状の頻度は高く, 特に腹痛が多い. 十二指腸病変は比較的頻度が高く第2部~第4部に好発し, 浮腫を伴い多発する潰瘍性病変を来すことが多い.また上気道炎での発症,増悪などがあり扁桃病巣疾患とも言われている.紫斑を認め, 腹部の疝痛や血便などの消化器症状を伴う際にはHSPも鑑別疾患として念頭におく必要がある.また先行する扁桃腺炎も診断に重要であると考えられた. |