セッション情報 一般演題

タイトル O-55:

分枝型IPMNの経過観察例の検討-新ガイドラインを踏まえて-

演者 塚本 啓祐(宮城県立がんセンター 消化器科)
共同演者 鈴木 雅貴(宮城県立がんセンター 消化器科), 虻江 誠(宮城県立がんセンター 消化器科), 相澤 宏樹(宮城県立がんセンター 消化器科), 及川 智之(宮城県立がんセンター 消化器科), 内海 潔(宮城県立がんセンター 消化器科), 野口 哲也(宮城県立がんセンター 消化器科), 鈴木 眞一(宮城県立がんセンター 消化器科), 小野寺 博義(宮城県立がんセンター 消化器科)
抄録 【目的】当科で診療した分枝型IPMNの経過観察症例について新ガイドライン(以下、新GL)に基づき検討する【対象】1996年4月~2012年12月に当施設で分枝型IPMNと診断した210症例のうち、180日以上の観察が可能であった103例【方法】1.臨床的背景2.病変の進展と内容について検討した。なお新GLで提唱されたWorrisome Feature(以下、WF)を有する症例群をWF群、それ以外を低リスク群とした。【結果】1.臨床背景:男女比49:54、平均年齢68.2歳(36~84歳)。主病変の部位は頭/体/尾部47/38/18例、嚢胞径中央値19mm(8~75mm)、嚢胞平均個数1.52個(1~5個)、観察期間中央値1119日(219日-5481日)で、他臓器癌を10例に認めた。WF群は29例(28.2%)で、主膵管径5~9mmの症例12例(11.7%)、造影効果のない壁在結節を有する症例7例(6.8%)、径30mm以上の嚢胞を有する症例15例(14.6%)であった。2.病変の進展と内容:低リスク群74例中11例が経過中にWFとなる進展を認め(14.9%)、内訳は主膵管径≧5mmの拡張4例(5.4%)、嚢胞径≧30mmの増大2例(2.7%)、造影効果を持たない壁在結節の出現4例(5.4%)であった。初診時WF群29例中1例で主膵管10mm以上への増大を認めHigh Risk Stigmataを満たし手術を施行、High-Grade Dysplasia(以下、HGD)であった。また2例が2006年版GLの手術適応を満たし手術を施行、いずれもIPMAであった。同様に、低リスク群からWF群に移行した11例中6例が手術適応を満たし、手術希望のなかった1例(2か月で死亡の転帰)を除く5例に手術を施行、IPMC1例、HGD1例、IPMA3例であった。一方、低リスク群からは1例の通常型膵癌の発生を認めた。また全103例を分枝型と混合型に分類するとそれぞれ9例(8.7%)と94例(91.3%)であり、混合型で6例、分枝型で15例に病変の進展を認めた。これは混合型で有意に進展した症例が多いという結果であった(P=0.0003)。【結語】新GLで提唱されているWFによる経過観察方針および手術適応は概ね妥当だと言えるが、低リスク群から通常型膵癌の発生を認めており、今後も検討が必要であると考えられた。
索引用語 IPMN, ガイドライン