セッション情報 特別企画 後期研修医(卒後3-6年迄)

タイトル W2-07:

当院におけるH.pylori感染胃炎に対する除菌療法の取り組み

演者 越後 紘治(大崎市民病院 消化器内科)
共同演者 伊藤 博敬(大崎市民病院 消化器内科), 大矢内 幹(大崎市民病院 消化器内科), 石橋 嶺(大崎市民病院 消化器内科), 高橋 靖(大崎市民病院 消化器内科), 山本 勝利(大崎市民病院 消化器内科), 佐藤 雄一郎(大崎市民病院 消化器内科), 五十嵐 勇彦(大崎市民病院 消化器内科), 尾花 伸哉(大崎市民病院 消化器内科)
抄録 【背景】2013年2月、H.pylori (Hp)感染胃炎に対する除菌が保険収載となった。患者への啓蒙活動もあり、除菌に対する関心が高まっている。しかし、関心が受診率に及ぼす影響は把握されておらず、除菌へ繋げていくための取り組みが重要である。【目的】当院におけるHp感染胃炎に対する取り組みと除菌の現状を把握する。【方法】2013年7月より上部消化管内視鏡検査を施行しHp感染胃炎疑いと診断され、除菌歴の無い患者(消化性潰瘍、胃癌、特発性血小板減少症、MALTリンパ腫を除く)に対して、「Hp感染胃炎疑いであること、感染による疾患の説明用紙」を配布し、診断希望の際は後日外来受診するよう説明した。受診した患者に対して主に抗Hp抗体測定法にて感染診断を施行した。陽性患者はプロトンポンプ阻害薬・アモキシシリン・クラリスロマイシン内服で一次除菌を施行した。除菌判定は内服終了後から4週間以上あけて尿素呼気試験(UBT)で行った。2013年7月~9月の期間に、上記用紙を配布した104人(男性56人、女性48人、平均63.3歳)を対象に受診率、感染率、一次除菌成功率を調査した。また、全除菌症例数を昨年の同期間と比較検討した。【結果】対象患者で受診したのは48人(受診率46.2%、男性22人、女性26人)だった。48人中36人(男性17人、女性19人)で感染が確認された。36人全てに除菌施行し、抄録作成時点で23人が除菌判定施行、16人(成功率69.6%、男性8人、女性8人)で除菌成功だった。全除菌症例数は2012年7~9月期間に対して2013年の同期間で50件の増加(1.74倍)だった。【結語】Hp感染胃炎疑い患者の約半数が受診しており、除菌に対する関心が高いことが伺えた。更なる受診率向上のための啓蒙活動が必要である。感染率は予想以上に低かったが、原因としては内視鏡診断精度や抗体測定法の感度などによると思われた。内視鏡診断能力の向上とともに、抗体測定法陰性患者に対して積極的にUBTを勧める必要があると考えられた。今回の取り組みで全除菌症例数が増加したと推測されたが、十分に外来で対応可能と感じており、今後もこの取り組みを継続していく方針である。
索引用語 H.pylori, 除菌