セッション情報 | 特別企画 後期研修医(卒後3-6年迄) |
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タイトル | O-34:門脈ガス血症と腸管気腫症を呈した重症急性腸炎後に発症した狭窄型虚血性小腸炎の1例 |
演者 | 玉川 空樹(みやぎ県南中核病院消化器内科) |
共同演者 | 梅村 賢(みやぎ県南中核病院消化器内科), 島田 佐登志(みやぎ県南中核病院消化器内科), 鈴木 オリエ(みやぎ県南中核病院消化器内科), 高橋 貴一(みやぎ県南中核病院消化器内科), 油井 理恵子(みやぎ県南中核病院消化器内科), 洞口 愛(みやぎ県南中核病院消化器内科), 阿曽沼 祥(みやぎ県南中核病院消化器内科), 飯岡 佳彦(みやぎ県南中核病院消化器内科), 大沼 勝(みやぎ県南中核病院消化器内科), 三浦 雅人(みやぎ県南中核病院消化器内科), 廣澤 貴志(みやぎ県南中核病院外科), 前田 晋平(みやぎ県南中核病院外科), 赤田 昌紀(みやぎ県南中核病院外科), 上野 達也(みやぎ県南中核病院外科), 佐藤 俊(みやぎ県南中核病院外科), 後藤 慎二(みやぎ県南中核病院外科), 高橋 道長(みやぎ県南中核病院外科), 内藤 広郎(みやぎ県南中核病院外科) |
抄録 | 【症例】63歳男性【主訴】腹痛、嘔吐【既往歴】糖尿病、陳旧性心筋梗塞【内服】ワルファリン内服中、抗血小板薬やNSAIDsの内服なし【現病歴】2013年8月に腹痛嘔吐持続し当院救急搬送。血液検査ではWBC12600/μl、血清CRP0.5mg/dlと炎症反応軽度も腹部造影CT検査では門脈ガス血症と腸管気腫症を伴った腸管壁肥厚認めたことから重症急性腸炎と診断し精査加療目的に入院となった。【入院後経過】絶食補液と抗菌薬投与施行したところ臨床症状と血液検査所見は改善した。第8病日より経口摂取開始したが第16病日より腹部膨満感出現し第21病日に血便を認め輸血等保存的治療施行したところ止血された。第40病日に下部内視鏡検査施行したところ回盲弁から口側10cmの回腸に地図様輪状潰瘍認め、さらに口側には輪状潰瘍伴う内視鏡通過困難な狭窄を認めた。逆行性回腸造影検査施行したところ回腸に3ヶ所の求心性狭窄を認めたことから腹部膨満と血便の原因と診断し、第44病日に回盲部切除術を施行した。切除標本による病理組織学的所見は悪性所見を認めず、粘膜下に強い繊維化と慢性炎症細胞浸潤を認めた。術後経口摂取再開したところ腹部症状増悪認めず経過良好で第66病日に退院となった。【考察】本症例は、門脈ガス血症と腸管気腫症を呈した重症急性腸炎を契機に小腸の末梢動脈循環障害を発症した狭窄型虚血性小腸炎と考えた。元来、小腸は側腹血行路が発達しており虚血に陥りにくいことや小腸検査が容易ではないことから虚血性小腸炎の報告は少ないが、本症例のように動脈硬化をきたす疾患を背景とした症例に重症急性腸炎を発症した場合は本疾患併発の可能性を念頭に入れる必要がある。本症例は複数の狭窄を認めたことから外科手術を施行したが、近年は狭窄型虚血性小腸炎の狭窄に対して内視鏡的バルーン拡張術を施行し外科手術を回避しえた報告も散見される。また、治療前の悪性疾患の否定や治療時腸管穿孔の危険性に留意することが重要である。 |
索引用語 | 虚血性小腸炎, 小腸狭窄 |