セッション情報 一般演題

タイトル O-03:

腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した右側肝円索に伴った左側胆嚢の一例

演者 渡辺 伸和(青森厚生病院 外科)
共同演者 白戸 博志(青森厚生病院 外科)
抄録 【症例】66歳、男性。【主訴】なし。【既往歴】前立腺肥大、高血圧で近医にて治療中。【現病歴】近医にて前立腺肥大、高血圧症にて通院中であったが、平成25年4月の近医での超音波検査にて胆嚢結石を認め、8月に精査のため紹介医を受診した。精査にて、胆嚢頚部に嵌頓する胆嚢結石を認めた。8月下旬に手術目的に当科紹介となる。なお、術前に左側胆嚢の診断ができなかったが、retrospectiveに検討すると、胆嚢は肝円索左側に存在し、肝内門脈臍部は門脈右枝に認められ、門脈右後区域支は独立分岐していた。胆管の走行異常は認めなかった。9月中旬に胆嚢結石の診断にて腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した。術中所見で、胆嚢は肝円索の左側に位置しており、左側胆嚢と判明した。肝円索が垂れ下がり術野の展開が困難であったこと、胆嚢体部から頸部の部位が、Calot三角の上に覆い被さっているため、通常の胆嚢頚部先行のアプローチでは困難であったため、底部の処理を行い、最後に胆嚢管を切離するようにして手術を行った。術後の経過は良好で、術後6病日に退院となった。【考察】左側胆嚢は内臓逆位のない例で、胆嚢が肝円索の左側に位置する症例とされている。一方で左側胆嚢が胆嚢の発生異常や位置異常でなく、門脈の分枝破格である右肝円索が原因となって生じた見かけ上の胆嚢位置異常と考えられるようになってきている。左側胆嚢そのものは病的意義が乏しいが、胆嚢結石や胆嚢炎を発症した場合には手術が必要となる。その際には解剖学的な特徴を把握し、手術を行うことが大事である。本邦では腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した左側胆嚢の報告は40例であったが、今回、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 左側胆嚢, 腹腔鏡下胆嚢摘出術