セッション情報 特別企画 初期研修医(卒後2年迄)

タイトル W1-08:

著明な電解質異常を来たした直腸絨毛腫瘍の一例

演者 中島 勇貴(福島県立医科大学 医学部 消化器・リウマチ膠原病内科学講座)
共同演者 片倉 響子(福島県立医科大学 医学部 消化器・リウマチ膠原病内科学講座), 鈴木 良磨(福島県立医科大学 医学部 消化器・リウマチ膠原病内科学講座), 藤原 達雄(福島県立医科大学 医学部 消化器・リウマチ膠原病内科学講座), 郡司 直彦(福島県立医科大学 医学部 消化器・リウマチ膠原病内科学講座), 大須賀 文彦(福島県立医科大学 医学部 臓器再生外科学講座), 福島 直太郎(福島県立医科大学 医学部 腎臓高血圧・糖尿病内分泌代謝内科学講座), 引地 拓人(福島県立医科大学附属病院 内視鏡診療部), 小原 勝敏(福島県立医科大学附属病院 内視鏡診療部), 大平 弘正(福島県立医科大学 医学部 消化器・リウマチ膠原病内科学講座)
抄録 【症例】59歳、男性【主訴】血便、倦怠感【既往歴】特記事項なし【家族歴】父;脳梗塞、高血圧 姉;肺癌【現病歴】平成25年3月、職場の検診で貧血を指摘されたが放置していた。5月中旬頃から立ちくらみを自覚し、28日近医で受診した。Hb 4.0 g/dlと高度の貧血を指摘され同院に入院した。CTにて直腸に腫瘍性病変が疑われ、30日に大腸内視鏡検査を施行された。肛門管から直腸Rsまで広範にわたり全周性の絨毛腫瘍があり、生検結果は高分化型腺癌を伴う絨毛腺腫であった。31日の血液検査でBUN 100 mg/dl,Cr 5 mg/dlと腎不全を指摘され、当院へ転院した。【経過】当院転院時、Na 120 mEq/l,K 2.4 mEq/l,Cl 56 mEq/lと著明な電解質異常を呈していた。また6月中旬頃からは5 l/日程度の下痢も来たすようになった。多量の下痢をきたす原因として、神経内分泌腫瘍やWDHA症候群なども鑑別としてあがったが、血液検査および画像所見から否定的であった。直腸腫瘍以外に特記所見を認めなかったことから、貧血や電解質異常、腎不全は直腸腫瘍が原因と考えられた。大量補液にて電解質異常、腎不全を改善後に腹腔鏡補助下直腸切断術、人工肛門造設術が施行された。切除標本では18×15 cmの全周性の絨毛腫瘍で、病理組織検査では絨毛腺腫にMP癌を伴っていた。術後感染症などの合併症を併発したが、8月中旬に退院した。【まとめ】本症例はelectrolyte depletion syndrome(EDS)を伴った大腸絨毛腫瘍であった。若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 直腸腫瘍, 電解質異常