セッション情報 一般演題

タイトル O-47:

医事性に消化管病変が出現したヘノッホ・シェーンライン紫斑病の一例

演者 長澤 仁嗣(八戸市立市民病院 消化器科)
共同演者 赤坂 明日香(八戸市立市民病院 消化器科), 岩井 渉(八戸市立市民病院 消化器内視鏡科), 松田 泰徳(八戸市立市民病院 消化器科), 佐藤 真広(八戸市立市民病院 消化器内視鏡科), 沖 元二(八戸市立市民病院 消化器科), 前田 俊一(八戸市立市民病院 化学療法科)
抄録 【症例】43歳 男性【主訴】腹痛【現病歴】平成25年6月末より心窩部痛、嘔気・嘔吐が出現するようになり、軽快しないため近医を受診した。腹部単純写真を施行したところ腸閉塞が疑われたため精査加療目的に当科紹介となった。【経過】7月5日当科初診時の血液検査にて白血球増多、炎症反応の上昇を認めるほか、造影CT検査にて十二指腸、空腸にかけて全周性の壁肥厚が認められ、何らかの腸炎が疑われた。絶食、補液で治療を開始し経過をみていたが、腹痛や血液検査所見に明らかな改善傾向は認められなかった。入院6日目から黒色便が出現し、上部内視鏡検査を施行したところ十二指腸に多発する浅い潰瘍が認められた。その後も症状は持続、腹部所見で反跳痛も出現するようになったため入院8日目に再度腹部CT検査を施行したところ、新たに胃全体の著明な壁肥厚が出現しており、その後の上部内視鏡検査再検時でも前回の観察では認められなかった胃粘膜の浮腫状変化が確認された。細菌培養検査、消化管生検による組織検査など施行したが特異的な所見は認められなかった。しかし経過中に下腿に紫斑が出現、皮膚生検の結果からヘノッホ・シェーンライン紫斑病(以下HSP)が強く疑われた。入院15日目からPSL40mg/日点滴投与を開始、その後腹部症状は徐々に軽快し、内視鏡検査でも粘膜炎症所見の改善が認められた。【考察】HSP、特に成人発症例は発症頻度が比較的まれであること、また本疾患の特徴である皮膚紫斑の所見が他の随伴症状より後に出現する場合があり診断に苦慮することがある。また腸管病変も罹患部位によって頻度が異なることが報告されているが、本症例では罹患部位によって所見の出現時期が異なる可能性が考えられた。このことから経時的に腸管病変の出現に注目していくことが診断の一助になる可能性が示唆された。
索引用語 ヘノッホ・シェーンライン紫斑病, 腸管病変