セッション情報 一般演題

タイトル O-39:

腸管Behcet病(単純性潰瘍)に対するAdalimumabの使用経験

演者 佐藤 剛司(山形大学 医学部附属病院 光学医療診療部)
共同演者 野村 栄樹(山形大学医学部 内科学第二(消化器内科)講座), 渋谷 りか(山形大学医学部 内科学第二(消化器内科)講座), 水本 尚子(山形大学医学部 内科学第二(消化器内科)講座), 作田 和裕(山形大学医学部 内科学第二(消化器内科)講座), 八木 周(山形大学医学部 内科学第二(消化器内科)講座), 吉澤 和哉(山形大学医学部 内科学第二(消化器内科)講座), 岩野 大輔(山形大学医学部 内科学第二(消化器内科)講座), 佐々木 悠(山形大学医学部 内科学第二(消化器内科)講座), 阿部 靖彦(山形大学医学部 内科学第二(消化器内科)講座), 西瀬 祥一(山形大学医学部 内科学第二(消化器内科)講座), 上野 義之(山形大学医学部 内科学第二(消化器内科)講座)
抄録 【症例】37歳男性,主訴は:腹痛.既往歴:虫垂炎.【経過】平成17年に口腔内アフタ,血便で受診,精査の結果,腸管Behcet病(単純性潰瘍)と診断され,翌年腹腔鏡下回盲部切除術が行われた.術後は安定したが,3年後症状が再燃,内視鏡上も吻合部近傍に潰瘍の再発を認めた.2年後にはさらに症状が増悪,潰瘍はほぼ全周性となった.ステロイド増量の上,アザチオプリン併用,コルヒチンを開始するも,改善乏しく中止.ペンタサ注腸剤の局所散布も無効.以後ステロイド10-30mgとモルヒネ等の鎮痛剤で症状の緩和が図られた.本年Adalimumabが腸管Behcet病に対し保険適応となり,7月上旬に導入を計画した.しかし,6月末より発熱,腹痛の増悪が出現し,改善せず7月当科受診,入院となった.来院時苦悶様表情で,腹部の圧痛も著明であった. Adalimumabを160mg投与し,腹痛の改善と,CRPの改善を認めた.2週間後に80mg,さらにその2週後に40mgを投与した.この頃にはトラマドール塩酸塩,アセトアミノフェンが不要となり,プレドニゾロンも7.5mgへ減量した.4回目からは自己注射とした.投与後,頭痛,眠気,倦怠感,眼周囲の腫脹感を訴えたが,症状はAdalimumabの減量,投与の継続にともなって軽減した.しかし投与6回目頃からCRPが軽度上昇,腹痛も増悪し,8回目の時点ではCRP 5.5とさらに悪化した.投与3ヶ月の時点で効果判定目的に大腸内視鏡検査を実施したが有意な改善を認めず,追加切除の方針で当院第一外科へ紹介となった.【考察】本症例は再燃,巨大潰瘍形成から投与まで長期間経過しており,有効性がでなかった可能性がある.本邦ではBehcet病に対してAdalimumabが導入されたばかりである.Behcet病に対する抗TNFα製剤の投与について若干の文献的考察を加え報告する.
索引用語 腸管Behcet病, Adalimumab