セッション情報 一般演題

タイトル O-44:

漢方薬の服用が原因として考えられた特発性大腸腸間膜静脈硬化症の症例

演者 小松 恒太郎(岩手県立中央病院 内視鏡科)
共同演者 松本 信(岩手県立中央病院 内視鏡科), 三浦 真奈美(岩手県立中央病院 内視鏡科), 天野 良彦(岩手県立中央病院 内視鏡科), 村上 晶彦(岩手県立中央病院 内視鏡科), 阿部 康弘(岩手県立中央病院 消化器科), 横山 直信(岩手県立中央病院 消化器科), 大方 英樹(岩手県立中央病院 消化器科), 高橋 太郎(岩手県立中央病院 消化器科), 小原 範之(岩手県立中央病院 消化器科), 城戸 治(岩手県立中央病院 消化器科), 池端 敦(岩手県立中央病院 消化器科), 佐熊 勉(岩手県立中央病院 病理診断センター), 小野 貞英(岩手県立中央病院 病理診断センター)
抄録 【背景】特発性大腸腸間膜静脈硬化症(IMP)は2003年岩下らにより初めて報告され、腸間膜静脈硬化に起因した還流障害による慢性虚血性大腸病変とされる。近年この疾患の原因の一つとされる漢方薬(特に生薬サンシシ)の長期服用症例が報告されている。【症例】70代男性。主訴:腹部違和感。既往歴:脳梗塞(ラクナ梗塞)を発症、高血圧、ブドウ膜炎の治療歴あり。平成20年前立腺癌手術、大腸ポリープ切除術。現病歴:以前より下腹部違和感あり、大腸の検査を希望され平成24年10月受診。現症:身長158cm、体重61Kg、血圧135/65mmHg、体温36.5℃、5年前からチクロジピン塩酸塩を服用していた。内視鏡検査:大腸内視鏡所見では右側結腸に青銅色から暗赤色の粘膜色調の変化と浮腫をみとめ、またS状結腸にIspのポリープを認めた。CT検査では右半結腸に腸管壁の石灰化を認めた。生検組織所見で粘膜下層の高度線維化と粘膜固有層の膠原線維の静脈壁の周囲沈着を認めた。以上より、特発性大腸腸間膜静脈硬化症と診断した。その後別医で黄連解毒湯を6年以上服用している事が判明した。IMPと診断以降は黄連解毒湯は中止した。【考案】近年漢方薬を数年から数十年の長期服用者でIMPの発症がある事、サンシシ含有剤である事、サンシシの成分の青色の色素、ゲニポシドが腸内細菌のもとでゲニピンに変化して、青銅色となる事など判明している。【結論】サンシシを含有する黄連解毒湯の長期服用患者のIMPを経験したので報告する。
索引用語 特発性腸間膜静脈硬化症, サンシシ含有漢方