セッション情報 シンポジウム2「高齢者肝胆膵疾患に対する診療の工夫」

タイトル S2-04:

肝細胞癌に対する体幹部定位放射線治療-年齢別の検討

演者 梅津 輝行(国立病院機構 仙台医療センター 消化器科)
共同演者 鵜飼 克明(国立病院機構 仙台医療センター 消化器科), 田邊 暢一(国立病院機構 仙台医療センター 消化器科), 真野 浩(国立病院機構 仙台医療センター 消化器科), 奈良崎 覚太郎(国立病院機構 仙台医療センター 放射線科)
抄録 【はじめに】近年、肝細胞癌に対する体幹部定位放射線治療(SBRT:Stereotactic Boby Radiotherapy)の有用性が報告されており、副作用が少なく高齢者でも安全に行える治療と言われている。今回、当科で施行したSBRTについて安全性、治療効果について年齢による差異があるか否かを検討した。【対象・方法】2012年9月から2013年8月までの間にSBRTを施行した患者15症例のうち、以下の1)-3)の全ての条件を満たす13例を対象とした。1)肝細胞癌が3cm以内3病変以内、若しくは5cm 以内1病変、2)Child-pugh A、3)RFA等経皮的局所療法の治療が困難、若しくは同意が得られなかったもの。照射内容は全例、呼吸停止下で1回照射線量7.5Gyで7回、計52.5Gyの照射を行った。対象を75歳未満(若年群)と75歳以上(高齢群)の2群に分け、安全性については照射中の有害事象と照射後の生化学検査結果で、治療効果については標的結節治療効果度(TE)で評価した。【成績】若年群は6例(平均65.8歳)、高齢群7例(平均80.5歳)であった。両群とも放射線治療による明らかな有害事象を認めなかった。治療前のChild-Pugh score(平均値±標準誤差)は若年群で5.3±0.2、高齢群で5.6±0.2であり、治療約3か月後のscoreは若年群で5.6±0.2、高齢群で5.1±0.1であり、何れの群も治療後の明らかな肝予備能低下を認めなかった。TEは、評価時期に達していない若年群の1例を省き、両群ともTE3以上であった。【結語】今回、SBRTの治療成績を年齢によって2群に分け検討をしたが、何れの群も肝予備能や治療効果に明らかな相違は認められなかった。また、肝細胞癌の局所制御能は非常に良好であり、低侵襲であるため高齢者でも治療の1選択肢として有用と考えられた。
索引用語 体幹部定位放射線治療, 肝細胞癌