セッション情報 | 特別企画 後期研修医(卒後3-6年迄) |
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タイトル | W2-10:初期病変から典型例への進展を追跡し得た潰瘍性大腸炎の2例 |
演者 | 駒澤 大輔(福島県いわき市総合磐城共立病院 炎症性腸疾患センター) |
共同演者 | 土佐 正規(福島県いわき市総合磐城共立病院 炎症性腸疾患センター), 岡本 大祐(福島県いわき市総合磐城共立病院 消化器内科), 渡部 敬之(福島県いわき市総合磐城共立病院 消化器内科), 伊藤 広通(福島県いわき市総合磐城共立病院 消化器内科), 大楽 尚弘(福島県いわき市総合磐城共立病院 消化器内科), 池田 智之(福島県いわき市総合磐城共立病院 消化器内科), 高橋 成一(福島県いわき市総合磐城共立病院 炎症性腸疾患センター), 池谷 伸一(福島県いわき市総合磐城共立病院 消化器内科), 中山 晴夫(福島県いわき市総合磐城共立病院 消化器内科), 樋渡 信夫(福島県いわき市総合磐城共立病院 炎症性腸疾患センター) |
抄録 | 潰瘍性大腸炎(以下UC)の初期病変として、アフタ様病変、リンパ濾胞増殖症、虫垂病変などが報告されている。しかし実際の臨床の場で経過を追って典型例に進展する症例は稀である。今回、初期病変から典型的なUCに進展し、その経過を臨床的、内視鏡的に追跡し得た2例を経験したので文献的考察をふまえ報告する。【症例1】46歳、男性。検診で便潜血陽性を指摘され、大腸内視鏡検査を施行。直腸~左側大腸には特に異常を認めず。虫垂開口部にUC様の所見、上行結腸に非連続性に血管透見消失像、びらんを認めた。虫垂からの生検では陰窩膿瘍の形成、杯細胞の減少などUCに矛盾しない所見を認めたが、直腸からの生検では炎症所見を認めず、過去の炎症を示唆する所見も認めなかった。1年後の経過観察では内視鏡的、病理組織学的にも虫垂病変は軽度の改善を認め、直腸は前回と同様に有意な所見は認めなかった。更に2年半後には、直腸Ra~RbにUCに典型的な血管透見消失像、粘膜粗造、一部膿苔を伴った小びらんを認め、逆に虫垂病変は寛解していた。同時に施行した直腸生検からはUCに矛盾しない結果を得た。初期病変としての”ulcerative appendicitis”の可能性が示唆された。【症例2】47歳、女性。時折下血を自覚し、初診。大腸内視鏡検査で、直腸下部にリンパ濾胞の増殖によると思われる大小不同の顆粒状隆起、一部発赤、黄色斑を認めた。生検ではリンパ濾胞の過形成、部分的に炎症性細胞浸潤を認めたが、積極的にUCを示唆する所見には乏しかった。クラミジア腸炎も疑ったが血清学的、組織学的には否定的であり、リンパ濾胞性直腸炎との鑑別が困難であった。約3カ月のメサラジン、ステロイド坐薬による治療施行。内視鏡的には軽度の改善を認めたが組織学的にはほぼ不変であった。その後5カ月の経過で血便が持続的になり、内視鏡的にもUCの典型像を呈し、組織学的にもリンパ濾胞の増殖は消退し、UCに矛盾しない所見となり確定診断に至った。【結語】上記2症例はUCの自然史を考慮するうえで重要な症例と考え報告する |
索引用語 | 潰瘍性大腸炎, 炎症性腸疾患 |