セッション情報 一般演題

タイトル O-67:

胃切除術後ビタミンB12欠乏による大球性貧血ならびにビタミンB1欠乏による下腿浮腫を呈した1例

演者 小高 尚子(国立病院機構 仙台医療センター 総合診療科)
共同演者 高橋 広喜(国立病院機構 仙台医療センター 総合診療科), 半田 智之(国立病院機構 仙台医療センター 総合診療科), 安藤 正勝(国立病院機構 仙台医療センター 総合診療科), 鵜飼 克明(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 田所 慶一(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 横山 寿行(国立病院機構 仙台医療センター 血液内科)
抄録 【症例】61歳、男性。【主訴】倦怠感、易疲労感、下腿浮腫。【既往歴】平成20年(56歳)早期胃癌にて幽門輪温存胃切除術。【現病歴】平成25年9月中旬より倦怠感、易疲労感、両側下腿の浮腫が出現したため9月下旬に当科を受診した。【身体所見】身長165cm、体重54kg、血圧113/76mmHg、HR 83bpm。眼瞼結膜に貧血軽度、眼球結膜黄染なし。舌乳頭の委縮あり。頚部リンパ節は触知せず、心音・呼吸音に異常はなく、腹部は平坦・軟であった。両側下腿に軽度浮腫を認めた。【検査所見】WBC 4,000 /μl、RBC 252万/μl、Hb 10.3 g/dl、MCV 119 fl、MCH 40.9 pg/ml、ビタミンB12 147.0 pg/ml、葉酸 6.6 ng/ml、NT-proBNP 205pg/ml。【経過】ビタミンB12欠乏による大球性貧血を認めたため、血液内科でビタミンB12製剤(メコバラミン)筋注投与を施行された。4週間後、貧血の改善傾向を認めたが、下腿浮腫は悪化を呈していた。同日、利尿薬(フロセミド)の投与開始となるが症状はさらに悪化し、歩行や正坐が困難となった。10月下旬に再度当科を受診時には初診時より8kgの体重増加を認めた。膝蓋腱反射の減弱などは認めなかったが、採血にてビタミンB1低値(17ng/ml)を認めたため、ビタミンB1欠乏による下腿浮腫を考えた。ビタミンB1製剤(チアミンジスルフィド混合剤)を静注投与後、翌日には下腿の浮腫は速やかに改善傾向を示し、体重も1日で1.6kgの減少を認めた。ビタミンB1製剤投与2週間後の再来時には下腿浮腫はほぼ消失し、体重も8kgの減少を認め、症状出現以前の体重に復した。【まとめ】胃切除後の既往のある患者の晩期には、ビタミン欠乏症を合併することがある。今回、胃切除術後ビタミンB12欠乏による大球性貧血ならびにビタミンB1欠乏による下腿浮腫を呈した1例を経験したので文献的考察を加え報告する。
索引用語 胃切除術後, ビタミン欠乏症