セッション情報 一般演題

タイトル O-40:

リンパ節転移を伴った長径5 mmの直腸神経内分泌腫瘍の1例

演者 梶原 大輝(東北大学病院 胃腸外科)
共同演者 大沼 忍(東北大学病院 胃腸外科), 神山 篤史(東北大学病院 胃腸外科), 工藤 克昌(東北大学病院 胃腸外科), 佐々木 宏之(東北大学病院 胃腸外科), 羽根田 祥(東北大学病院 胃腸外科), 田中 直樹(東北大学病院 胃腸外科), 長尾 宗紀(東北大学病院 胃腸外科), 青木 豪(東北大学病院 胃腸外科), 阿部 友哉(東北大学病院 胃腸外科), 武者 宏昭(東北大学病院 胃腸外科), 森川 孝則(東北大学病院 胃腸外科), 片寄 友(東北大学大学院 統合癌治療外科学講座), 江川 新一(東北大学 災害科学国際研究所 災害医療国際協力学分野), 内藤 剛(東北大学病院 胃腸外科), 海野 倫明(東北大学大学院 消化器外科学分野)
抄録 【症例】30歳代、女性。【主訴】左腹部痛。【家族歴】父、大腸癌。【既往歴】16歳から気管支喘息。【現病歴および経過】平成24年頃から続く左腹部痛を主訴に平成25年1月に近医を受診した。全大腸内視鏡検査で直腸 (Rb) に直径5 mmの粘膜下腫瘍を指摘され前医紹介となった。前医で超音波内視鏡検査を行ったところ、第3層に主座をおく低エコー腫瘤を認めたが、第4層への浸潤所見はなく、同年3月にESMR-L (endoscopic submucosal resection with a ligation device) 法で腫瘍を一括切除した。病理組織学的検査結果では直腸神経内分泌腫瘍 (Well differentiated neuroendocrine tumor G1、静脈侵襲陰性、リンパ管侵襲陰性)の診断となったが、垂直断端陽性が疑われた。このため追加切除目的に同年4月に当科紹介となった。当院画像検査で転移を疑う所見はなかったが、腫瘍の固有筋層浸潤が否定できず、同年6月にリンパ節郭清 (D2) を伴う腹腔鏡補助下直腸低位前方切除術を施行した。術後の病理組織学的検査結果では、ESMR-L後の部分は瘢痕組織のみで腫瘍の遺残は見られなかった。しかし、傍直腸リンパ節2個に、腫大した類円形核を有する異型細胞がリボン状配列をとりながら密に増殖している像を認めた。さらに、免疫組織化学染色では chromogranin 陽性、synaptophysin 陽性、CD56 陽性で、直腸神経内分泌腫瘍のリンパ節転移と診断された。術後経過は良好で、術後第11病日に退院した。術後5ヶ月現在、再発を認めていない。【考察】一般的に神経内分泌腫瘍は、腫瘍径が10 mm未満かつ脈管侵襲陰性であればリンパ節転移率は極めて低いとされている。本症例は腫瘍径5 mmで脈管侵襲陰性であったが、垂直断端陽性が疑われたため追加切除を行い、リンパ節転移が判明した。内視鏡的切除で脈管侵襲陽性、あるいは切除断端陽性が疑われた場合は、腫瘍径5 mmであってもリンパ節郭清を伴う手術を検討する必要があると考えられた。
索引用語 神経内分泌腫瘍, リンパ節転移