セッション情報 特別企画 初期研修医(卒後2年迄)

タイトル O-17:

成人男性に発症したサイトメガロウイルス肝炎の一例

演者 小田 朗(公立藤田総合病院 消化器科)
共同演者 木暮 敦子(公立藤田総合病院 消化器科), 伊藤 崇(公立藤田総合病院 消化器科), 古川 大(公立藤田総合病院 消化器科), 大島 康嘉(公立藤田総合病院 消化器科), 坂 充(公立藤田総合病院 消化器科), 近藤 祐一郎(公立藤田総合病院 消化器科)
抄録 【症例】34歳 男性【主訴】 発熱、頭痛、全身倦怠感【家族構成】 本人、妻、子の3人家族【既往歴】 特記事項なし【生活歴】 喫煙(-) 飲酒(-)【内服薬】 なし【現病歴】2013年9月6日から発熱、頭痛、全身倦怠感が出現した。9月8日と13日に近医を受診し、抗菌薬と消炎鎮痛薬を処方されたが、その後も症状が持続し、15日に当院救急外来を受診した。血液検査でHb 8.1 g/dlと著明な貧血、AST 55 U/L、ALT 55 U/L と軽度肝機能異常を認めた。9月17日当科を受診、上部消化管内視鏡では出血源を認めなかった。9月19日、貧血と肝機能異常の精査目的に入院した。【入院時現症】眼瞼結膜に貧血、左頸部リンパ節の軽度腫大を認めた。右背部から前胸部に小水疱疹を認めた。【検査所見】小球性貧血とリンパ球優位の白血球増加、肝機能異常、CRPの軽度上昇を認めた。下部消化管内視鏡検査、および小腸カプセル内視鏡検査では明らかな出血源を認めなかった。【経過】右背部から前胸部の水疱は帯状疱疹と考えられ、バラシクロビルを7日間投与し、改善した。血液疾患による免疫能低下、ウイルス感染を疑い、骨髄穿刺を施行したが、腫瘍細胞や芽球の増加はなく、異型リンパ球の増加を認めた。水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、EBウイルス、HIV、サイトメガロウイルス(CMV)の検査を施行し、CMV-IgM高値を認めCMV単核球症と診断、肝機能異常はCMV肝炎によるものと考えられた。入院後も発熱と肝機能異常が継続したため、プレドニゾロンを投与した。投与後肝機能は改善傾向に向かい、退院した。貧血は平成22年および平成24年の血液検査でHb14.0 g/dl から11.9 g/dl に低下していたこと、フェリチンが正常であったことから、慢性の経過で進行している貧血であり、CMV感染とは無関係と思われた。【考察】成人男性に発症したCMV肝炎の一例を経験した。伝染性単核球症の多くはEBウイルスによるものであるが、CMVによるものも存在する。診療に際しては鑑別に挙げる疾患の一つであると思われ、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 サイトメガロウイルス, 肝炎