セッション情報 特別企画 初期研修医(卒後2年迄)

タイトル O-04:

門脈血栓症を続発した重症急性胆管炎の1例

演者 村山 千尋(栗原市立栗原中央病院 内科)
共同演者 佐藤 晃彦(栗原市立栗原中央病院 内科), 小西 秀知(栗原市立栗原中央病院 内科), 荒井 壮(栗原市立栗原中央病院 内科), 木田 真美(栗原市立栗原中央病院 内科), 布施 香(栗原市立栗原中央病院 内科), 佐藤 修一(栗原市立栗原中央病院 内科), 小林 光樹(栗原市立栗原中央病院 内科), 小泉 勝(栗原市立栗原中央病院 内科)
抄録 【はじめに】門脈血栓症は比較的稀な疾患であり、成人では肝硬変や悪性腫瘍に合併した例が多い。急性膵炎や腸管感染症などの腹腔内炎症性疾患に続発する例も報告されているが、急性胆管炎に起因するものは稀である。今回我々は、総胆管結石に伴う急性胆管炎に門脈血栓を続発した症例を経験したので報告する。【症例】54歳男性。糖尿病のため内服加療中。平成25年7月下旬より腹痛が出現、徐々に増強したため8月上旬近医を受診。総胆管結石に伴う急性胆管炎と診断され、入院のうえ輸液・抗菌薬投与を中心とした保存的加療が行われたが、病状が悪化したため入院15日目に当院転院となった。転院時、敗血症プレショック、DICを呈しており、門脈左枝を中心に門脈右枝の一部にも血栓の合併も認めた。重症急性胆管炎と診断し胆管ドレナージを目的に緊急ERCPを施行。下部胆管に複数の結石を確認しESTに引き続き採石するとともにENBDを留置した。門脈血栓症に対してはヘパリン持続静注投与を開始した。処置後、全身状態ならびに採血所見は速やかに改善した。処置2週後の造影CTでは、門脈左枝の再開通がみられたものの、依然として広範に門脈血栓を認めた。抗凝固療法をワーファリン内服に変更したうえで退院、外来フォロー中である。【考察】門脈血栓症に対しては原疾患の治療とヘパリンなどの全身的抗凝固療法の併用が重要であるが、治療限界についても報告されおり、発症・血栓形成から治療開始までの時間が遅いほど治療成功率は低下する。本例では門脈血栓症の原因となった総胆管結石・急性胆管炎については治癒したが、門脈血栓の消退に至っていないため、今後も血栓拡大や食道胃静脈瘤などの合併に留意しながら経過観察を行う必要があると考えられた。
索引用語 門脈血栓症, 急性胆管炎