セッション情報 | 特別企画 初期研修医(卒後2年迄) |
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タイトル | W1-10:粉塵アレルギーが発症に関与したと思われる好酸球性胆管炎の一例 |
演者 | 伊藤 崇(公立藤田総合病院 消化器科) |
共同演者 | 木暮 敦子(公立藤田総合病院 消化器科), 小田 朗(公立藤田総合病院 消化器科), 古川 大(公立藤田総合病院 消化器科), 大島 康嘉(公立藤田総合病院 消化器科), 坂 充(公立藤田総合病院 消化器科), 近藤 祐一郎(公立藤田総合病院 消化器科), 鈴木 修三(公立藤田病院 内科) |
抄録 | 【症例】76才男性【主訴】下痢【現病歴】2011年5月末ごろから震災の片付けでねずみの糞尿等の粉塵に曝露した。その後、皮疹が出現し6月に近医皮膚科を受診、抗アレルギー薬を処方された。同時期から下痢も出現し、改善しないため8月下旬当科を受診した。 血液検査で肝機能障害、好酸球増加、IgEの上昇を認め、免疫検査ではANA陽性、IgG4、IR2レセプターの上昇を認めた。MRCPで胆管全体に壁不整を認め、硬化性胆管炎の像を呈していた。 肝生検では肝炎、胆管炎の所見を認めたが好酸球やIgG4陽性形質細胞の浸潤を認めなかった。また、門脈域に軽度の線維化を認めた。大腸生検では好酸球浸潤がやや目立っていた。寄生虫は陰性であった。これらの所見から、アレルギーが関与する胆管炎を考えPSL内服を開始した。下痢と好酸球増多は速やかに改善し、肝機能障害も改善傾向を示したが、2012年2月頃、自宅を取り壊した際、再度粉塵に曝露し肝機能が悪化した。 2回目の肝生検で肝線維化の増悪を認め、ERCPで胆管全体にわたる著明な壁不整、硬化を認めた。PSLを増量することで、一度肝機能は改善したが、胆道系酵素が徐々に上昇した。前医で処方されていたフェノフィブラートによる肝障害も考え同薬剤の内服を中止した。6月からアザチオプリンを開始したが皮下出血が出現しため中止し、7月中旬ステロイドパルス療法を施行した。UDCAを増量し、レボセチリジンも併用した。ビスフォスフォネートを内服した所、全身に浮腫、薬疹が出現したためPSLを増量し改善した。2013年4月、後腹膜膿瘍を併発しPSLを中止したが肝機能は落ち着いていた。膿瘍が改善した7月頃から再度肝機能悪化、好酸球増多が出現したためPSL10mgを再開し、現在、これらの所見は改善している。以上の所見と経過から、粉塵アレルギーが関与した好酸球性胆管炎と診断した。発症の機序や画像所見において示唆に富む症例であり、文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 | 胆管炎, アレルギー |